枕の寿命(耐用年数)とは?買い替えサインや寿命を延ばすコツも解説

2023年3月3日

エムール睡眠・生活研究所

枕の寿命は使用方法や素材によって変わりますが、平均3〜4年と言われています。枕の質は睡眠に影響を与えるため、適切な頻度で買い替えが必要です。本記事では素材別の耐用年数と枕の買い替えサイン、枕の寿命を延ばすコツについて解説します。快眠を手に入れるための参考にしてくださいね。

枕の寿命を「耐用年数」と呼ぶ

枕の寿命は、耐用年数と呼ばれます。枕の耐用年数は平均3〜4年程度ですが、長いもので5年、短いもので1年とさまざまです。1〜2年使用したら、枕の見直しをすると良いでしょう。

また、耐用年数は、枕の素材によっても異なります。素材別の耐用年数は、以下の通りです。

素材 耐用年数
そばがら 1年~2年
羽(フェザー)・羽(ダウン) 2年~4年
ポリエステルわた 1年~3年
ビーズ 1年~3年
ポリエチレンパイプ 4年~5年
低反発ウレタン 3年~5年
高反発ウレタン 3年~5年

素材のほか、使用方法や環境によっても異なります。次の章では、素材別の買い替えサインを解説します。

枕の寿命|素材別の買い替えサイン

素材別に買い替えサインを解説します。

そばがら

そばがらの枕の買い替えサインは、高さが低いと感じるときや、そばがらが割れて白い粉が出てくるときです。そばがらは使い続けていると、徐々にそばがらが割れて粉状になります。そばの粉は、アレルギーの元になったり虫が付きやすくなったりするため早めに買い替えるようにしましょう。

羽(フェザー/ダウン)

羽の枕の買い替えサインは弾力やボリュームが減って枕が低くなり、高さが合わなくなったときです。羽は使い続けていると、へたってきたり羽の中心部分が枕から飛び出してきたりします。また、羽が刺さってしまい枕の生地が傷み使用できなくなる場合もあります。

ポリエステルわた

ポリエステルわたの枕の買い替えサインは枕の形が変わる、高さが合わなくなる、弾力が無くなり硬くなるといった状態になったときです。使い続けていると、素材同士が絡まって固まりができ、枕の表面が凸凹して寝心地が悪くなります。

ビーズ

ビーズを覆っている枕の側生地が伸び、形が変わってきたら買い替えのサインです。ビーズは流動性が高いため、側生地が伸び枕が劣化する原因になります。

ポリエチレンパイプ

パイプが潰れているものが多くなったら買い替えのサインです。パイプが潰れて細かくなると、寝苦しさを感じたり、息苦しさを感じたりと寝心地が悪くなります。

ウレタン(低反発・高反発)

低反発・高反発問わず、ウレタン製の枕の耐用年数はウレタンの密度によって異なります。密度が高くなればなるほど長くなるため、買い替え時には密度を確認するのがポイントです。

その他、頭を置く部分がへたってきたり、押しても反発せず寝ていて後頭部に圧迫感を感じるようになったりしたら買い替えのサインです。適度なフィット感や弾力が無くなってきたと感じたら買い替えを検討しましょう。

枕の寿命を伸ばすコツ

枕の寿命を伸ばすコツは以下の3つです。

  1. 定期的に洗う
  2. カバーやプロテクターで保護する
  3. 複数の枕を使用する

それぞれ解説していきます。

定期的に洗う

水洗い可能な素材の枕の場合は、定期的に洗って枕を清潔に保ちましょう。枕をキレイに保つことは、長く枕を使用するのに欠かせません。

ただし、枕を洗う前には必ず洗濯表示を確認して洗濯機で洗えるのか、手洗いなのかを確認しましょう。また自宅の洗濯機が枕を洗えるものなのかも確認が必要です。

<水洗い可能な場合>

枕の水洗いが可能な場合の、手洗いの手順を解説します。

  1. 枕全体が浸かる大きさの容器を用意し、ぬるま湯を溜める
  2. 溜めたぬるま湯に中性洗剤を溶かす
  3. 枕全体が浸かるように容器に入れる
  4. 丁寧に揉み洗いする
  5. 枕に洗剤が残らないよう、しっかりとすすぐ
  6. 残った水気をタオルで吸い取り、形を整える
  7. 枕の表示に従い、陰干しまたは天日干しをし、しっかり乾燥させる

枕を定期的に洗うとはいえ、頻繁に洗う必要はありません。
洗濯頻度は、枕カバーや外側の生地を週に1回程度、枕本体は半年に1回程度、枕が汚れてしまったタイミングを目安にしましょう。

その他、詳しく枕の洗濯方法を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。



<水洗い不可の場合>

枕が洗えない素材の場合のお手入れは、洗濯表示に従って陰干し、または天日干しをしましょう。素材によって、直射日光が良い場合と悪い場合があります。

例えば、そば殻は直射日光を当てることで虫が付着しにくくなるため、天日干しが向いています。逆に直射日光が劣化させる原因になる場合もあるため、よく確認してください。

洗えない素材の枕が汚れてしまった場合は、しっかりと絞ったタオルで汚れた部分を叩き、汚れが除去できたら濡れた部分をドライヤーなどで、しっかりと乾かして清潔を保つと良いでしょう。

枕の詳しい干し方は、こちらの記事をご覧ください。


カバーやプロテクターで保護する

枕カバーや専用のプロテクターで、汗や皮脂の汚れから枕を守ることも寿命を延ばすコツのひとつです。汚れは、枕の中材の劣化の原因となります。

特に洗濯できない素材の枕の場合、干すだけでは汗や皮脂などの汚れは取れず、徐々に溜まっていってしまいます。防水機能が備わった生地でできているものを選べば、枕本体まで汚れが通りにくいため、結果として枕の寿命を延ばすのに効果的です。

複数の枕を使用する

複数の枕を持っていれば、ひとつの枕の使用頻度が減るため、結果的に寿命が延びます。日によっていつもの枕だと寝にくいときもあったり、体調が悪くいつもの寝姿勢を保ちにくかったりと、いつでも落ち着く枕が一定であるとは限りません。複数の枕を持っておくことで使い分けも可能です。

枕の寿命を過ぎても使える?

枕の寿命が過ぎても、枕自体を使い続けることはできますが、枕の本来の機能は失われるため買い替えが必要です。

寿命を過ぎた枕は寝心地が悪くなるだけでなく、身体に悪影響を起こすこともあります。例えば、枕がへたって自分に合った高さよりも低くなることで、首に大きな負担がかかります。また睡眠の質が低下し、どんなに寝ても疲労が取れないこともあるでしょう。

また洗濯可能な枕であっても、長く使えば汗や皮脂、ダニ、ほこりなど汚れが溜まります。奥まで入り込んだ汚れを完全に除去するのは困難です。

このことからも健康面、衛生面ともに、寿命を過ぎた枕の使用は避けた方が良いことがわかります。場合によってはアレルゲンを吸い込んで、喘息やアレルギーの原因にもなりかねないため、適切なタイミングで買い替えるようにしましょう。

枕の寿命を見極め、適切なタイミングで買い替えて

枕の寿命は一般的に3〜4年ですが、素材や使用の仕方によっても異なるため1〜2年使用したら見直すと良いでしょう。また清潔を保つことが、寿命を延ばすのに有効な手段のため、適切なお手入れ方法を知るのも大切です。毎日を健康に過ごすため、この記事をきっかけに毎日使う枕の寿命について考えてみてくださいね。

執筆者/監修
Author

エムール睡眠・生活研究所

  • 【所長・主席研究員】神川 康子 富山大学 名誉教授 博士(学術)一般社団法人日本睡眠改善協議会理事。日本眠育協議会理事。富山県公安委員会委員。富山県社会福祉協議会理事。
  • 【所属有資格者】 日本睡眠改善協議会認定 上級睡眠改善インストラクター 1名/睡眠改善インストラクター 6名 日本睡眠教育機構認定 睡眠健康指導士上級 2名/睡眠健康指導士 11名
  • 【活動内容】 「続けられる具体的な睡眠改善」をテーマに、専門的な見地からのデータ収集と分析及びソリューション開発を目的として設立。 寝具や寝室環境に関する調査研究や睡眠教育など広く社会に役立つ研究開発と知識啓発を行っている。 詳細はこちら https://nemuri-kurashi.jp/activities/