専門家に聞く"三間(さんま)から快適性を考える"

専門家に聞く"三間(さんま)から快適性を考える"

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適な間(あわい)

エムール睡眠・生活研究所の所長で富山大学名誉教授の神川です。

寝室やリビングなどの家という空間、職場という空間、私たちは様々な空間で生活していますが、どんな空間でもできれば快適に過ごしたいものです。
今回は、人と人、人と物、物と物の距離、そして時間の長さも距離と考えて、その距離を間(あわい)として考えてみたいと思います。そこには物理的な距離と心理的な距離があることも多くの方々が、日頃感じていらっしゃることでしょう。

空間の広さや距離の文化

先日東京で、保存が難しいけれど文化的な価値の高い、江戸時代からの歴史的建造物が30棟ほど復元・保存・展示されている博物館「江戸東京たてもの園」を訪れました。

多くの見学者が建物間をめぐっている中で、あるカップルが、(彼氏)「日本の家は天井が低くて、鴨居(敷居と言っていた)におでこぶつけそう!」、(彼女)「それはね、昔の日本人が小さかったからだよ」という会話が聞こえてきて、一理あるものの空間の広さや距離の文化の違いを紐解いてみるのも面白そう!と思いつきました。

生活の距離の変遷

昔から日本は国土が狭いせいか、庶民の暮らしには「起きて半畳、寝て一畳」とか、長屋暮らしというように、人々が身を寄せ合って暮らしてきた時代が確かにありました。そう考えると、現代はずいぶんと、プライバシーやテリトリー、そして防犯意識も相まって、距離をとることを重視するようになってきたと気付かされます。

よく日本と西洋(欧米)の生活の距離感を比較するときに、炬燵とソファの距離と言う言い方をしています。昔の日本では足や手が触れる距離(90㎝程度)、欧米では当時からテーブルを挟んで椅子に座ると150㎝以上になるように、人と人の距離の違いがありました。大正時代にダイニング(食堂)で椅子に座る西洋文化が庶民の家庭に入ってくると、気づかぬうちに家族間の距離が少しずつ離れたとも言われ、物理的距離を心理的・行動的な距離でカバーする必要が出てきたようです。


物理的距離と心理的距離

以前、大学の住居学の授業で、学生たちはTVで芸能人の家などを観ているせいか、広い家や居間に憧れる傾向があり、「40畳の居間で少人数家族の日常会話は大丈夫ですかね? 広すぎるトイレは使用中不安じゃないですか? 大広間の真ん中で一人眠れそうですか?」などと、広さに価値を置く意識に、あえて意地悪な質問を投げかけて、実際には適切で快適な広さがあると、空間心理を考えてもらいました。

もちろん、最近では行動様式もほとんど欧米化し、日本でも恥ずかしがらずに知人同士、握手はもちろん、肩を組んだり、ハグしたりするようになってきましたが、家族、友人、仲間等の物理的距離をカバーするには、声掛け(言葉)、行動・態度で表す心理的距離を近づける工夫はとても大切で、いまだに日本人の「以心伝心」「言わなくても分かる」は、都合良く使われる言葉のように思います。もしかすると私が空気を読めない人間なのかもしれませんが、「袖すれあうも他生の縁」のような距離感が心地良いと思っています。

睡眠相談における三つの間

睡眠学だけでなく、生活環境学や住居学、家族関係学に関わってきた私はこれまでも、意図的に人と人、人と物、物と物、時と時(時間)の間に目を向けてきました。環境は①過去・現在・未来の時間軸と②人間を取り巻く空間③そして人間同士の関係の3軸(3D)で成り立つと考えてきました。

そこで、私が睡眠相談を受ける際にも「空間」「人間」「時間」(三つの間=さんま)の関係性を観察するようにしています。睡眠を改善するためには、寝室(寝床)という空間で個人(人間)を取り囲む物との関わりを再検討してみると改善のヒントが見えてきます。
また、その空間を共有する家族などの人と人の距離や関係性をモニタリングしてみると、今より個人に合った快適な睡眠環境へと近づけられると考えています。

寝室における三間の改善

例えば、寒い時、暑い時、エアコンの設定温度は適切か、枕や布団、マットレスに違和感はないか、布団やベッドの周辺家具の配置は安全で快適か、隣で寝ている人との距離は、夫のいびきやペットの行動が気になっていないか、等々です。
そういえば、以前ハムスターが夜中に行動することを認識していなくて、カラカラと回転する音で眠れなかったことがありました(笑)。

職場におけ三間の改善

同じく、間(あわい)の状態が、長時間過ごす職場などの働きやすさにも影響を及ぼします。例えば、事務所や工場などで人や物の間隔が近すぎる狭い空間では事故やトラブルが起きやすいですし、室温や騒音を快適に近づけるだけでも作業効率は向上します。
また、しっかり休憩時間や勤務間インターバルを保障することで生産性が向上し、職場の人間関係も多いに改善されることが証明されています。

時間・空間・人間の距離の快適性を探る

人は唯一、論理的な思考力を持ち、未来を予測しながら、将来に残したい、繋ぎたい環境を創造できる動物のはずなので、今自分が暮らしている環境の中の「時間」「空間」「人間」の距離の快適性を探ってみるのも楽しいのではないでしょうか。

たたむことで快適性を高める

せっかくですので、改善ポイントを一つは見つけたいですね。
私は今も和室で「起きて半畳、寝て一畳」のような寝室なので、畳んで部屋を広く使える布団から、畳めるベッドを購入しようか悩んでいるところです。私が所属しているエムールが運営している体験型ショールームでも、客間で寝起きしている一間多様に過ごしたい方や、和布団からの立ちあがりにご苦労がある方、寝室が4畳半しかない方など、和布団から折りたためるベッドに乗り換えようかという方も多くご来場されているようです。


地域に合わせた快適な間(あわい)

また、最近若いファミリーに聴くと、炬燵のある家はほとんどないのですが、私は断然「炬燵派」です。就寝前のひと時、今回のように寒波が長引くと、雪国では炬燵で足先が温まり、寝室に移動しても本当に寝つきが良いのです。地域や生活スタイルによって快適な間(あわい)は違うので、どうぞ丁度良い人と人、人と物、物と物、そして時間感覚の距離感を見つけてください。

エムール体験ショールームについて

マットレスやベッド、折りたたみベッド、高座椅子・リクライニングチェア等の製品を体験できるインテリアショールームで、予約制で最大45分間、専門スタッフがお客様の心地よい体験をサポートしてくれます。 立川店にはトップアスリートが練習帰りに立ち寄られ、2024年にオープンした南青山店にはタレントの方もお越しになるそうです。
私も購入を検討している折りたたみベッドは驚くほど快適で「これなら毎日畳める!」と感動しました。空間でお悩みの方はぜひ一度体験してみてください。

エムール体験ショールーム

今日から実践できる睡眠改善方法

睡眠教育を実施してみようという教育者の方、保護者の皆様、企業内の人事や健康管理を担当されている方、ぜひ下記のURLから「睡眠を改善する生活習慣15項目」に答えてみて参考にしてください。 昨年までの睡眠研究で、この15項目から3つを選んで2週間チャレンジして下さると、61%の方で睡眠が改善したという結果になりました。残りの39%に入りそうな方はもうあと2項目を加えてみて下さい。

睡眠の質を改善するための生活習慣改善の取り組みアンケート

すいみん・かるた

家族や職場で睡眠を改善したい方のために「すいみん・かるた」(dreams come true=良い眠りは人生の夢を実現する)を作成しました。お子様との学びの場でぜひご活用ください。大人にとっても学びのある内容になっています。
 

すいみん・かるたの詳細

 

脳とすいみんはともだち

今年の8月にようやく「脳とすいみんはともだち」というボードゲームが完成しました。スマホゲームとは異なり、サイコロの目に沿って進むアナログでシンプルなボードゲームは、仲間とコミュニケーションをとりながら脳をリフレッシュし、元気にしてくれます。学校やご家庭で使ってみたいという方はお気軽にエムールまでお問い合わせください。
 

睡眠環境と習慣を学びたい方におすすめ

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いずれもリンクフリーです。ぜひ睡眠教育の実践にお役立ていただければと存じます。