春、変化の季節の睡眠と健康
エムール睡眠・生活研究所の所長で富山大学名誉教授の神川です。
寒さも緩んでくる3月には「世界睡眠の日」が設定されており、今年(2026年)は3月13日でしたが、日本でもこの頃に心身の健康に大切な睡眠について、家族で、企業で、地域で再認識する機会となっています。
気温の変化
また「春眠暁を覚えず」という言葉もあり、夜明けは早くなるのですが、ふとんや部屋の中が暖かくなり、まどろみが心地よくてなかなかベッドから抜け出せないこともしばしばです。
雪国の富山に住んでいる私は年間を通して、睡眠も環境温湿度も計測しているのですが、もっとも寒い1、2月でエアコンを消して就寝すると最低気温が8℃を下回ることもありますが、最近では15~17℃になってきています。20年ほど前に大学生で実験したところ、寝室の温度が一桁以下になると、寝つきが悪くなり睡眠の質も満足度も低下しました。冬の適正な寝室の温度は18度以上なので、ヒートショックを避けるためにもエアコンで調節したほうが良さそうです。
生活環境の変化
春分も過ぎ桜満開の今頃には、寒さのストレスからも解放され睡眠にはとても良い季節になって来ました。一方で寒暖差によって体内の自律神経が乱れ、むしろ体調不良で眠れないという方々も多く、生活の質に影響する睡眠が実は様々な条件に左右されて変化するデリケートな生活行動だと実感します。
最近は頻繁に少人数の睡眠相談会を開催させて頂いているということを前回のブログで書きましたが、少人数でも睡眠のお悩みはとてもバラエティーに富んでいますし、個人でも、季節・年齢・家族構成などの変化によっても繊細に影響を受けます。いよいよ新年度を迎え、進学や就職、異動などで大きく生活環境も変わる方が多いと思いますが、しっかり眠って良いスタートを切りたいものですね。
寝つきを良くするための入眠儀式
働く人々の健康データを集めている協会けんぽの富山支部では、令和6年の調査から詳細な分析をしていますが、寝つきに課題がある人は40.2%、睡眠中に目が覚める人は42.7%、朝早くに目が覚めてしまう人は58.9%、睡眠時間が不足の人は74.9%にも及び、悩みが複数の方も多いことが分かりました。
この悩みを改善するヒントが見つかると、睡眠が改善すると思いますので、お悩みごとに改善策を考えてみたいと思います。
今回は寝つきを良くするための「入眠儀式」について、一つでもお試しいただければと思い、就寝前にスマホを手放して、絵本を読むことをお勧めします。
入眠儀式とは
「入眠儀式」とは寝つきを良くするために行う毎日の習慣化した行動の事で、リラックスして副交感神経を有意にするので、寝つきが良くなる可能性があります。どのような行動が心を落ち着けちラックスして、スムースな寝つきを促すかは、人それぞれですが、知らず知らずに寝つきを悪くする行動を就寝前に行っていて、眠れない、寝つきが悪いと言っている方々が以外に多いのです。
その代表的な行動や環境が布団の中でのスマホ操作や寝室の明る過ぎなのです。就寝前の光刺激は体内時計の中枢である視交叉上核に刺激を送り続け、寝つきを悪くする原因となるのです。
心地よい習慣を
入眠儀式は、リラックスするためにお部屋と心のスイッチをゆっくりと落としていく行動が良いので、ゆっくりした呼吸でストレッチをするとか、アロマの香りを寝室に噴霧して心地よい環境にするとか、白湯をコップ1杯ゆっくり飲む、明日や週末の楽しみなことを考える、季節によりますがぬるめのお風呂でゆったりくつろぐなども効果的です。このように就寝前に自分が心地よいと思うことを一つ決めて習慣化(ナイトルーティンに)すると、昔理科で習ったパブロフの条件反射のように眠りに誘われるようになります。
おやすみ前の絵本のすすめ
私が今回お勧めするのは、世代関係なく、毎日同じでも良いので好きな絵本を読むことです。難しい本を読むと眠くなるとも言われますが、できれば手に取りたい本でリラックスしたいものです。
大学の講義の際にも時々講義内容に合わせた絵本や写真集を紹介し、ゆっくりと読んで伝えることがありました。その際に共通することが、学生の表情が柔らかくなり、こころが落ち着いて集中力が上がる様子です。
「子どもが寝ない時に読み聞かせ!」と思っている親御さんも多いのですが、子供に寝てほしいと焦る気持ちで読み聞かせするのではなく、大人も読みたい絵本をゆっくりかみしめて読むと、子供にもリラックスした心拍や呼吸のリズムが伝わって寝つきが良くなりそうですし、自分もリラックスできるのではないでしょうか。親と子の睡眠は連動することも分かっています。片付けていない台所や部屋のことは明日に回して、親子で、または一人でゆっくり早目の就寝が出来れば、翌朝少し早く爽やかに目覚めて、片付けや準備ができるかもしれません。
親子で学ぶ睡眠
富山県教育委員会では「子育てネッ!とやま」で定期的に素敵な絵本を紹介していますし、全国でも珍しい公立博物館としての絵本館もあり、多くの絵本に出会うことができます。絵本は子どもだけのものではなく、大人の入眠儀式になることを長年、お勧めしてきました。
最後に告知ですが、「世界睡眠の日」があるこの3月に保護者や教育者向けの「子どもの睡眠」の本を9名の専門家で書いたものが出版されました。一気に読める、分かりやすいとの評価を頂いています。
エムール体験ショールームについて
環境も整えたいという方はこちらがおすすめです。マットレスやベッド、折りたたみベッド、高座椅子・リクライニングチェア等の製品を体験できるインテリアショールームです。予約制で最大45分間、専門スタッフがお客様の心地よい体験をサポートしてくれます。 立川店にはトップアスリートが練習帰りに立ち寄られ、2024年にオープンした南青山店にはタレントの方もお越しになるそうです。
私も購入を検討している折りたたみベッドは驚くほど快適で「これなら毎日畳める!」と感動しました。空間でお悩みの方はぜひ一度体験してみてください。

今日から実践できる睡眠改善方法
睡眠教育を実施してみようという教育者の方、保護者の皆様、企業内の人事や健康管理を担当されている方、ぜひ下記のURLから「睡眠を改善する生活習慣15項目」に答えてみて参考にしてください。 昨年までの睡眠研究で、この15項目から3つを選んで2週間チャレンジして下さると、61%の方で睡眠が改善したという結果になりました。残りの39%に入りそうな方はもうあと2項目を加えてみて下さい。
すいみん・かるた
家族や職場で睡眠を改善したい方のために「すいみん・かるた」(dreams come true=良い眠りは人生の夢を実現する)を作成しました。お子様との学びの場でぜひご活用ください。大人にとっても学びのある内容になっています。

脳とすいみんはともだち
今年の8月にようやく「脳とすいみんはともだち」というボードゲームが完成しました。スマホゲームとは異なり、サイコロの目に沿って進むアナログでシンプルなボードゲームは、仲間とコミュニケーションをとりながら脳をリフレッシュし、元気にしてくれます。学校やご家庭で使ってみたいという方はお気軽にエムールまでお問い合わせください。

睡眠環境と習慣を学びたい方におすすめ
【PR】睡眠環境と睡眠習慣を体系的に学びたい方、知識はあってもなかなか実践できないという方には、エムール睡眠・生活研究所(所長:神川康子)と通信教育のユーキャンが共同開発した『睡眠セルフマネジメント講座』がおすすめです。テキストで睡眠のしくみや、睡眠の質を高める実践法などの知識を身につけながら、副教材やアプリで睡眠のくせを見える化!2つの学習を進めていくことで資格取得と快眠習慣の定着、両方を目指せます。
いずれもリンクフリーです。ぜひ睡眠教育の実践にお役立ていただければと存じます。