専門家に聞く"良い眠りはどんな眠り?"

専門家に聞く"良い眠りはどんな眠り?"

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良い眠りはどんな眠り?

エムール睡眠・生活研究所の所長で富山大学名誉教授の神川と申します。朝晩、肌寒く感じる日が増えてきました。日照時間が短くなり夜が長くなる秋、睡眠について見つめなおしてみるのにもよい季節ではないでしょうか。

講演や研修先で「良い眠りとはどんな眠りですか?」とよく聞かれます。子どもたちから大人までほとんど人が自分の眠りは良いのか悪いのかが良くわからないと言われます。そこで自分でも判断できるように2つのポイントでチェックして頂いています。

良く眠れている?2つのセルフチェック

①朝、自分で目覚められますか?
⇒YESならOK!家族や目覚ましで起きようとしてもなかなか起きられない人は改善点あり!

②昼間の活動中にもしょっちゅう眠くなりますか?
⇒昼間眠くなる事がほとんど無いならOK!無意識に寝てしまうことがたびたび有るようなら改善しなくては!

上の2つが大丈夫でしたら、ほぼ良い眠りが取れていると思われますが、昼間の眠気は無自覚な場合も多いようなので、周囲の友達や家族にも確認してみましょう。

良い眠りの条件

良い眠りの条件としては「すぐに」「ぐっすり」「すっきり」の3条件に、最近は「たっぷり」を加えています。つまり、寝付きが良く、眠りが深く、気持ちよく目覚め、年齢に応じた睡眠時間が確保されていると良い眠りと言えます。

しかし現代の日本人の睡眠時間がOECD諸国の中で最も短いことは良く知られていますが、時間だけではなく、「中途覚醒がある」と答える人が8割近く、7割前後の人が「睡眠で疲れが取れない」「寝起きが良くない」と回答しています。

つまり睡眠不足で、眠りの質も悪く、気持ちよく目覚められていない、すなわち「足りない」「浅い」「起きられない」という現状が見えてきました。特に30代が最も寝起きが悪く(67%)、ついで20代(60%)、40代(56%)、50代(48%)、60代(27%)ということで、働き盛りの方々がもっと睡眠を大切にして、良いパフォーマンスを発揮して頂きたいのです

日本人の目標課題は「寝起きの良さ」

今年、私が日本睡眠学会で発表した、ほとんどの生徒が大学受験をする「進学高校の睡眠実態」では、91%が20分以内に寝付き(すぐに)、79%はよく眠れている(ぐっすり)と自己評価していました。しかしながら、91%の生徒が寝たりない感じ(睡眠不足感)があるために、93%がいつも疲れており、88%が昼間によく居眠りしているという結果となりました。
私がこれまで50年近く児童・生徒の睡眠研究をしてきた結果では、心身の健康や日中のパフォーマンス向上には「寝起きの良さ」が重要であることが分かってきていますので、現代日本人の目標課題は一人一人が「寝起きの良さ」つまり「睡眠休養感」を手に入れることだと考えています。

自然な目覚めは健康な眠りのバロメーター

講演でも良く説明するのですが、良い眠りとは健康な眠りであり、自分でいつもの時刻に自然に目が覚めることがバロメーターであり、証拠となります。

本来、自分から目が覚めない眠りは不健康な状態で、例えば「昏睡状態」「植物状態」「麻酔がかかっている状態」「物語のように催眠や魔法がかけられている状態」のようなものです。自分からは目覚められないということは、健康な眠りとは言えません。
しかし、現代人は自然に目が覚めない状態が普通のことと思っているようなのです。すぐに、ぐっすり、すっきり、たっぷり眠れる健康な眠りは、体内時計が正確で、さわやかに自然に目覚められる健康な眠り、良い眠りということになります。

現代の日本人は「眠っている時間がもったいない」という魔法が解けて、「命のメンテナンスをしてくれる睡眠を削るなんてもったいない!」ことに目覚めてほしいと思います。

今日から実践できる睡眠改善方法

睡眠教育を実施してみようという教育者の方、保護者の皆様、企業内の人事や健康管理を担当されている方、ぜひ下記のURLから「睡眠を改善する生活習慣15項目」に答えてみて参考にしてください。 昨年までの睡眠研究で、この15項目から3つを選んで2週間チャレンジして下さると、61%の方で睡眠が改善したという結果になりました。残りの39%に入りそうな方はもうあと2項目を加えてみて下さい。

睡眠の質を改善するための生活習慣改善の取り組みアンケート


すいみん・かるた

家族や職場で睡眠を改善したい方のために「すいみん・かるた」(dreams come true=良い眠りは人生の夢を実現する)を作成しました。お子様との学びの場でぜひご活用ください。大人にとっても学びのある内容になっています。

 

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今年の8月にようやく「脳とすいみんはともだち」というボードゲームが完成しました。スマホゲームとは異なり、サイコロの目に沿って進むアナログでシンプルなボードゲームは、仲間とコミュニケーションをとりながら脳をリフレッシュし、元気にしてくれます。学校やご家庭で使ってみたいという方はお気軽にエムールまでお問い合わせください。

 

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いずれもリンクフリーです。ぜひ睡眠教育の実践にお役立ていただければと存じます。

エムール体験ショールームについて

マットレスやベッド、高座椅子・リクライニングチェア等の製品を体験できるインテリアショールームです。予約制で最大1時間、専門スタッフがお客様の心地よい体験をサポートしてくれます。 立川店にはトップアスリートが練習帰りに立ち寄られ、2024年にオープンした南青山店にはタレントの方もお越しになるそうです。最近では、私のいる富山県と東京都を繋ぐ北陸新幹線とコラボした椅子が体験できると、若い世代の方も訪れるきっかけになったようです。休息姿勢は年を追うごとに痛みや健康課題が大きくなっていきますので、若い世代が姿勢に注目することはとても良いことだと思います。「売らないショールーム」ということで寝る、座るの姿勢と体験を重視した運営をしていますので、皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 

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