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「中学生の睡眠への疑問と答え」から学ぶ【前編】

「中学生の睡眠への疑問と答え」から学ぶ【前編】

目次 []

はじめに

エムール睡眠・生活研究所の所長で富山大学名誉教授の神川です。

睡眠が私たちの心身の健康にとても重要であることは、近年マスコミやSNSなどでも取り上げられ、広告でもマットレスや枕、リカバリーウエアーなどと、ストレスが蓄積し、疲れが取れにくい現代人の興味関心をとても引き始めているように感じます。

もちろん睡眠環境を整えることも重要ですが、やはり根本的に発達段階に応じた時間を確保すること、眠りの質を改善するための日常生活行動を見直すこと、そして睡眠環境を寝室・寝具から見直すことが重要です。そして生活リズムが乱れやすい現代社会においては、平日と休日、特に連休や夏休みなどの長い休みに睡眠・覚醒リズムを回復不能なほどに乱さないことが心の健康も維持するためにはとても大切だと学校現場では強調しています。

今年も夏休み明けを元気に過ごしてほしいと、7月に中学1年生を対象に講演をいたしました。昨年も講演後の生徒達からの質問にお答えし、その内容をコラムに掲載しましたが、今年も昨年以上に34個の質問が寄せられ、睡眠への関心の高さを実感しました。

生徒たちが抱く睡眠に対する疑問を通して、皆さんにとっても何か学びやプラスに繋がればと考えています。

中学校1年生の睡眠に関する質問への回答【前編】

2026年7月13日(月)の睡眠に関する講演会を大変熱心に聞いた下さり、皆さんの素晴らしい感想文を読ませて頂いて、皆さんの成長のために睡眠が重要であることがしっかり伝わったと、うれしく思いました。さらにもっと知りたいという皆さんの学習意欲にもお答えしたく、34個の質問に答えさせていただきます。似たような質問もありましたので、すべての回答を読んでいただけると、自分の生活に合った改善方法などが見つかるかもしれません。今日からで良いので、できそうなことから実践してください。
また、今回、睡眠について関心を持って頂けましたら、ぜひ、自分でも調べてみてください。夢の研究のように、まだまだ分からないことなどが多い睡眠研究を将来担ってみたいという人がおられましたら、この上なく嬉しいです。

Q1:遮光カーテンを付けて寝てもよいのですか。

遮光カーテンは睡眠には効果的です。夜でも街灯などで外が明るい時や、夏至前後の朝が早く明るくなる季節にも睡眠を妨害しません。朝日で目が覚めたいときは、1cmほど隙間を空けておくと目が覚めやすいでしょう。

Q2:睡眠をとると成⻑すると聞いたが、背をよく伸ばすには何時から何時の間に眠ればよいのか教えてほしい。

骨を伸ばしたり、筋肉を付けて身体を成長させるためには、夜寝付いてから睡眠前半2~3時間に出現する深い眠りの時の成長ホルモンが重要なので、中学生は10時前後には就寝した方が良いでしょう。

Q3:気持ち良く起きるためにすると良いこと、また先⽣が実際にしていることを教えてほしい。 

気持ちよく目覚めるためには、まず早寝(10時前)をして8時間は睡眠時間を確保することです。寝室環境(暗く、静かに、適温になど)を整えることも重要です。
私は(年寄りなので)毎日11時には就寝するようにして、6~7時間睡眠をとっています。就寝前は照明を暗めにして、リラックスできる本や音楽、風景写真などを観て、旅行にいってみたい場所などを思い浮かべたりしています。

Q4:夜、ゲームではなくドラマなどの動画なら⼤丈夫と聞いたことがあるが、実際はどうなのか。朝は⽇光を浴びた⽅が良いとのことだが、冬はどうすればよいのか。

夜寝る前はあまり光る画面を見るのは良くないのですが、特に双方向や対話型のゲーム画面やSNSは脳が興奮するので良くないです。眺めるだけの動画は先のインタラクティブな画面よりはましと言われていますが、就寝1時間前には動画はやめた方が良いでしょう。
また、起床したらすぐにカーテンなどを空けて外の光を浴びると脳の時計が毎朝リセットできますが、冬場は同じ時刻でも暗いことが多いので、部屋の明るい照明でも良いでしょう。タイマー付きの徐々に明るくなる目覚まし照明もあります。

Q5:嫌な記憶は寝ると薄まるとのことだが、良い思い出も寝ると忘れてしまうのか。適切な睡眠量をとっていても記憶⼒が強くない場合は、何が悪いのか。

睡眠と記憶に関係があることは近年多くの論文で分かってきていますが、詳細はまだまだ判明していません。ただ意識的に大切とか、勉強などで覚えておきたい、楽しかったという記憶は睡眠中に定着しやすく、ネガティブな感情の記憶が薄まっていく事が現状では分かってきています。ですから、良い思い出は忘れませんし、強く記憶に残りやすいです。
記憶には睡眠が大切ですが、とくに質の良い深い眠りが必要です。また記憶のためにはしっかりインプットすることも重要なので、しっかり眠った頭で集中力をもって勉強することが大切です。

Q6:どうしても遅寝早起きをしなければならないときは、どうすればよいか。 

そんな日もあるかもしれませんが、極力睡眠時間短縮は成長期の皆さんには避けて頂きたいです。寝つきが悪くて、早起きをしなくてはならない日もあるかもしれませんが、そのような時には、ミスをしやすいので、危険な運動や作業は控えてください。昼間に20分~30分の仮眠が取れるようでしたら、少しはましな状態になります。遅寝早起き、短時間睡眠はめったにしないようにしてほしいです。

Q7:睡眠しない⽣物はいるのか。いるとすれば、どのような⽣物で、どのように脳などを回復させているのか。

地球上の生命体で、眠ったり休んだりしない生き物はいません。すべての生命は生命維持のために活動したら眠ったり休んだりします。植物でさえ、昼と夜では活動が異なります。

Q8:寝相が悪く、朝に⼿⾜がピリピリすることが多い。寝返りを打つのと同じで良いことなのか、悪いことなのか。

寝相と手足のビリビリは関係ないように思います。寝相が悪いのは、周囲にぶつかったりしそうな危険なものが無ければ、むしろ血流が促されたり、布団の中の温度調節のためには必要な動きです。手足のビリビリは、お医者さんに相談された方が良いかもしれませんが、例えば水分不足による熱中症傾向や、貧血による鉄欠乏からの「むずむず足症候群」などによることもあります。とくに女子は生理が重いと鉄欠乏になり易いですので、血液検査などを受けてみてはどうでしょう。原因が分かると安心しますよね。

Q9:平⽇の睡眠不⾜を休⽇の朝寝坊で取り返すのは良くないのか。良くない場合、睡眠不⾜はどこで補えばよいのか。

現代人が最も多く抱えている課題です。平日と休日で睡眠時間帯がズレることが最も体調不良やストレス蓄積の原因になっていますので、できるだけ平日の睡眠時間を増やして、休日の(長時間の)睡眠時間を減らし、その差を小さくすることが重要です。
平日の睡眠不足を休日の朝寝坊で補い続けると、体内時計が乱れて、心身の健康が維持できなくなる可能性があります。今より30分で良いので平日の早寝を心掛け、休日にも平日と同じような時刻(ズレても1時間以内)に起きましょう。

Q10:12時間を超える睡眠は良くないのに、なぜ⼤⾕選⼿は⼤丈夫なのか。

大谷選手は、日々の練習量、運動量、活動量がずば抜けて多いので、体力の消耗量に合わせて睡眠が多く必要になってきます。一般的な運動量の人が長時間眠ると身体活動が不活発になるので、血流も滞ってしまいがちになります。
本当は、しっかり動いて、しっかり食べて、しっかり眠るのが良いのですが、あまり運動しない人が食べ過ぎて、眠り過ぎることは、むしろ健康に悪い影響が出やすいです。
睡眠は発達段階(年齢)や運動量、エネルギー摂取量(食事)を考えて取ることが良いでしょう。

Q11:画⾯を⾒ていなくても、布団に⼊ってから2時間くらい経たないと眠れない。どうしたらよいか。 

寝つきが悪い原因は沢山考えられます。まずは脳がリラックスしていなくて、いろいろと考え事をしてしまい交感神経が優位で興奮状態であると眠れません。色々と悩みや気になることを考えていませんか。リラックスするためには、就寝の1時間くらい前から部屋を暗めにして、好きな本や音楽などで徐々に脳のクールダウンをしていく必要があります。
また、周囲に騒音があったり、室温が暑過ぎ寒すぎたりはないですか。あとは、就寝1時間ほど前にゆっくり湯船に浸かることも入眠に有効です。また、今日も眠れないのではないかと不安を持つこともあまりよくないので、なにか明日や将来の楽しみなことなどを思い浮かべてみましょう。寝る前の楽しい空想は、良い眠りに繋がります。

Q12:より深い睡眠をとるためには、運動以外で何が必要か。

食事も大切です。朝ごはんをしっかり食べることです。朝に乳製品や納豆などの発酵食品を摂取すると、含まれるトリプトファンという必須アミノ酸が、昼間の運動や太陽の光でセロトニンに代わり、それが夜には睡眠物質であり免疫物質でもあるメラトニンに代わって良い眠りに繋がります。他の質問にも書きましたが、夏でも湯船に浸かる入浴がお勧めです。

Q13:普段9時間ほど寝ていても、たまに体がだるく学校に⾏きたくなくなるときがある。どうしたらよいか。 

いつも9時間くらい眠れているのはすばらしいですね。でも確かに季節や天候の変化などで、体調不良にもなることがありますから、あまり気にすることは無いように思います。
もしかすると9時間寝ていても、深い眠りになっていない時などもあるかもしれません。
寝室環境や、自分自身の悩みやストレスなどが気になるようでしたら、環境改善や、好きな趣味などでストレスを発散することも大切ですね。誰にでもストレスはあるので、音楽を聴いたり、ストレッチなどで身体を動かしたりの気分転換も良いと思います。

Q14:レム睡眠とノンレム睡眠とは何か。 

睡眠の研究は、1929年に脳波が発見されたり、1953年にREM睡眠が発見されたりして活発になってきました。昔はどれくらいの大きさの音で目覚めるかで深さを測っていましたが、それが脳波で分かるようになってきました。そして人間の一晩の眠りには2種類あることも分かってきました。
REM(レム)はrapid eye movementの略で、寝ていても目玉がグルグルと早く良く動いているときがあり、それが夢をみている確率が高いということで、REM睡眠=夢をみている眠りと言われるようになり、それ以外の眠りをNREM(ノンレム)睡眠と言うようになりました。NREM睡眠には深さにより3段階あります。また、最近はNERM睡眠中にも単調な夢をみることがあると分かってきています。


生徒の皆さんからの感想

・身近な事例を調査結果のグラフなどで分かりやすく説明してくださったので睡眠にとても興味がわきました。今まで明るい部屋で寝ていましたが、今夜から電気を消して眠りたいです(電気代節約のためにも)。家族にも話して自分だけでなく家族全体で実行していきたいです。
・人間の睡眠だけでなく、動物の睡眠についても話して下さり、とてもよくわかる講演でした。
・小学生の時にも先生の話を聴き学びました。睡眠は子どもから大人まで大切なので、今日学んだことを親にも伝えたいです。中学生になったら親にも説明できそうです。
・私は寝る時間が嫌いでした。それは寝ているとき自分の身体も頭も自由に動かせないからです。やりたいことができない無力感がすごくうざったいです。でも今回の話を聴いて、今晩寝るのが楽しみになってきました。考えすぎて眠れないかもしれません(笑)
・夏休みには、今何をやるべきか優先順位を考えて、日々の生活の栄養でもある睡眠時間を確保していきます。

こんな感想をもらえると、まだまだ子ども達の健やかな成長のために動ける限り睡眠の重要性を伝える伝道師を続けようと、パワーを頂けます。

終わりに

前編として、質問に対する回答のうち、約半分をご紹介しました。いかがでしたか。
実は、この中学校には12年前から毎年入学したばかりの1年生対象に睡眠の話をしてきました。これまで睡眠の話を聞いてくれた生徒の中に、睡眠に関心を持ち睡眠研究者を目指し、東大理Ⅲから筑波大大学院に入った卒業生がいることも分かり、こんな嬉しいことはありません。

授業では聞けない生徒たちの率直な疑問に答えるのはとても嬉しく楽しいことです。この中学校ではこの回答を7月末に生徒と保護者に配信し、夏休みをできるだけ規則正しく?過ごしてもらっているはずです(笑)

次回、後編として残り半分の睡眠への質問と答えをご紹介したいと思います。
ぜひ、睡眠について知るヒントとしてご活用ください。

今日から実践できる睡眠改善方法

睡眠教育を実施してみようという教育者の方、保護者の皆様、企業内の人事や健康管理を担当されている方、ぜひ下記のURLから「睡眠を改善する生活習慣15項目」に答えてみて参考にしてください。 昨年までの睡眠研究で、この15項目から3つを選んで2週間チャレンジして下さると、61%の方で睡眠が改善したという結果になりました。残りの39%に入りそうな方はもうあと2項目を加えてみて下さい。

睡眠の質を改善するための生活習慣改善の取り組みアンケート


睡眠と脳を育てるボードゲーム

『作って遊ぶ、睡眠と脳を育てるボードゲーム~脳とすいみんはともだち~』は、家族や友達と楽しく遊びながら日ごとの生活を振り返ることができる、睡眠教育のためのボードゲームです。睡眠習慣を整えると脳が元気になって健やかに成長し、質の高い生活ができることを知ってほしいと思っています。


はさみやのりを使って作って遊ぶ体験

SNSの年齢制限を検討するほど、近年のデジタル化の進展が凄まじい中で、子どもたちの脳が過労状態やインターネット中毒状態になることで、発達が遅れてしまうことも懸念しています。
日常生活の中で身体や手を使うことの楽しさを感じてもらいたいと思い、「作って遊ぶ」という要素を取り入れました。ゲームに使用するサイコロやコマ、シートなどをはさみやのりを使って、親子、兄弟、友達と作る喜びを実感してもらい、楽しく遊んでもらいたいと願っています。


脳の発達と五感と感情

実は人間の脳の発達は、五感の感覚や、感情を伴う実際の体験や学習を通して神経細胞の軸策が太くなり重量が増すことで促されていきます。特に皮膚と脳は密接な関係があるのは、受精卵が細胞分裂を繰り返すなかで、同じ外胚葉というところから脳と皮膚ができるからなのです。だから、皮膚に加えられる様々な刺激や感触が脳の感覚野に伝えられるのです。手や足、顔の感覚は脳の感覚野の広い領域と関わっていて、日常生活で喜怒哀楽などの感情を伴う多くの体験を通して、脳の神経伝達はさらに活性化し、脳が発達して、精神が安定することに繋がることが分かっています。

アナログなゲームが心を豊かにする

『作って遊ぶ、睡眠と脳を育てるボードゲーム~脳とすいみんはともだち~』は、手を動かし、世代を問わずみんなで喜怒哀楽を共にしながら楽しめる「すごろくゲーム」です。デジタルゲームは脳を疲れさせるばかりですが、アナログなゲームは脳を活性化し、心を安定にし、豊かにしてくれます。ご家族や友だちと遊びながら、私たちの身体や心のコントローラーである脳を健やかに育てるためには睡眠が重要な役割を果たすことを楽しく学んでいただければと思います。

すいみん・かるた

以前に作成した「すいみん・かるた」でも45組の絵札・読み札でも睡眠の重要性を科学的に紹介、解説させて頂いています。お子様との学びの場でぜひご活用ください。大人にとっても学びのある内容になっています。
 

すいみん・かるたの詳細


睡眠環境と習慣を学びたい方におすすめ

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いずれもリンクフリーです。ぜひ睡眠教育の実践にお役立ていただければと存じます。

エムール体験ショールームについて

マットレスやベッド、折りたたみベッド、高座椅子・リクライニングチェア等の製品を体験できる人体系家具のショールームです。予約制で最大45分間、専門スタッフがお客様の心地よい体験をサポートしてくれます。私も購入を検討している折りたたみベッドは驚くほど快適で「これなら毎日畳める!」と感動しました。空間でお悩みの方はぜひ一度体験してみてください。

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