「眠れない」は個人の悩みから社会課題へ。睡眠を取り巻く60年の変化
エムール睡眠・生活研究所の所長で富山大学名誉教授の神川です。
今月6月から医療機関が掲げる診療科に「睡眠障害」が加わりました。これまでの内科や小児科、精神科等の名称と組み合わせて「睡眠障害内科」「睡眠障害小児科」「精神科・睡眠外来」「呼吸器内科・睡眠外来」のように使用できるようになったそうです。
私が睡眠研究を始めた1980年代は「日本人成人の5人に一人が睡眠に何らかの問題を抱えている」と言われ、課題視する研究者が様々な視点から改善を試みてきたものの、2026年を迎えた現代は4人に一人が慢性的な不眠傾向で、成人の平均睡眠時間は7時間22分で、OECD加盟国33カ国中で最も短い水準となりました。過去60年で日本人の睡眠は60分減少したとも言われています。
厚生労働省の「国民健康・影響調査」では、とくに男性の30~50代、女性の40~60代で睡眠時間が6時間未満の割合が4割を超えているそうです。同様に子ども達も睡眠不足が顕著で、小学6年生で7.9時間、中学3年生で7.1時間、高校3年生で6.5時間と、厚生労働省の推奨睡眠時間を下回っているようです。 
睡眠習慣に対する科学的な理解
私が50年以上「心身の健康と睡眠」について研究してきた中で、子どもたちの健やかな成長を願うときに、とても重要な睡眠習慣については正しく科学的な理解がなかなか進まないという実感をずっと抱いてきました。食事や運動については健康に直結していると理解されやすいのですが、睡眠はちょっとくらい削ってもたいしたことは無いと、多くの方々が思いがちです。
しかし、これまでの研究・調査を詳細に分析し総合すると、睡眠習慣が乱れるほどに食欲や運動、そして元気であってほしい心にも影響することが明確になってきました。つまり、睡眠が私たちの身体はもちろん、心や行動をコントロールする脳への影響が大きいのです。このことを、ぜひ子どもたち自身や保護者、先生などの教育者にも知って頂きたいという願いが50年の研究人生の中で、日に日に強くなってきました。
睡眠と脳を育てるボードゲーム
先月末に、睡眠教育のためのボードゲーム『作って遊ぶ、睡眠と脳を育てるボードゲーム~脳とすいみんはともだち~』が完成しました。家族や友達と楽しく遊びながら、睡眠習慣を整えると脳が元気になって健やかに成長し、質の高い生活ができることを知ってほしいと思っています。
はさみやのりを使って作って遊ぶ体験
SNSの年齢制限を検討するほど、近年のデジタル化の進展が凄まじい中で、子どもたちの脳が過労状態やインターネット中毒状態になることで、発達が遅れてしまうことも懸念しています。
日常生活の中で身体や手を使うことの楽しさを感じてもらいたいと思い、「作って遊ぶ」という要素を取り入れました。ゲームに使用するサイコロやコマ、シートなどをはさみやのりを使って、親子、兄弟、友達と作る喜びを実感してもらい、楽しく遊んでもらいたいと願っています。
脳の発達と五感と感情
実は人間の脳の発達は、五感の感覚や、感情を伴う実際の体験や学習を通して神経細胞の軸策が太くなり重量が増すことで促されていきます。特に皮膚と脳は密接な関係があるのは、受精卵が細胞分裂を繰り返すなかで、同じ外胚葉というところから脳と皮膚ができるからなのです。だから、皮膚に加えられる様々な刺激や感触が脳の感覚野に伝えられるのです。手や足、顔の感覚は脳の感覚野の広い領域と関わっていて、日常生活で喜怒哀楽などの感情を伴う多くの体験を通して、脳の神経伝達はさらに活性化し、脳が発達して、精神が安定することに繋がることが分かっています。
アナログなゲームが心を豊かにする
『作って遊ぶ、睡眠と脳を育てるボードゲーム~脳とすいみんはともだち~』は、手を動かし、世代を問わずみんなで喜怒哀楽を共にしながら楽しめる「すごろくゲーム」です。デジタルゲームは脳を疲れさせるばかりですが、アナログなゲームは脳を活性化し、心を安定にし、豊かにしてくれます。ご家族や友だちと遊びながら、私たちの身体や心のコントローラーである脳を健やかに育てるためには睡眠が重要な役割を果たすことを楽しく学んでいただければと思います。
おわりに
『作って遊ぶ、睡眠と脳を育てるボードゲーム~脳とすいみんはともだち~』のマス目には、次のような内容が書かれています。あなたは「つかれた脳🧠」になりそうな生活をしていますか?それともしっかり「げんき脳🧠」になる生活をしていますか?
みんなで日常を振り返りながら、楽しくゲームをして、健やかで豊かな毎日を送ってください。
今日から実践できる睡眠改善方法
睡眠教育を実施してみようという教育者の方、保護者の皆様、企業内の人事や健康管理を担当されている方、ぜひ下記のURLから「睡眠を改善する生活習慣15項目」に答えてみて参考にしてください。 昨年までの睡眠研究で、この15項目から3つを選んで2週間チャレンジして下さると、61%の方で睡眠が改善したという結果になりました。残りの39%に入りそうな方はもうあと2項目を加えてみて下さい。
すいみん・かるた
以前に作成した「すいみん・かるた」でも45組の絵札・読み札でも睡眠の重要性を科学的に紹介、解説させて頂いています。お子様との学びの場でぜひご活用ください。大人にとっても学びのある内容になっています。

脳とすいみんはともだち
遊んで学べるボードゲーム「脳とすいみんはともだち」の一般販売を開始しました。スマホゲームとは異なり、サイコロの目に沿って進むアナログでシンプルなボードゲームは、仲間とコミュニケーションをとりながら脳をリフレッシュし、元気にしてくれます。

睡眠環境と習慣を学びたい方におすすめ
【PR】睡眠環境と睡眠習慣を体系的に学びたい方、知識はあってもなかなか実践できないという方には、エムール睡眠・生活研究所(所長:神川康子)と通信教育のユーキャンが共同開発した『睡眠セルフマネジメント講座』がおすすめです。テキストで睡眠のしくみや、睡眠の質を高める実践法などの知識を身につけながら、副教材やアプリで睡眠のくせを見える化!2つの学習を進めていくことで資格取得と快眠習慣の定着、両方を目指せます。
いずれもリンクフリーです。ぜひ睡眠教育の実践にお役立ていただければと存じます。
エムール体験ショールームについて
マットレスやベッド、折りたたみベッド、高座椅子・リクライニングチェア等の製品を体験できる人体系家具のショールームです。予約制で最大45分間、専門スタッフがお客様の心地よい体験をサポートしてくれます。私も購入を検討している折りたたみベッドは驚くほど快適で「これなら毎日畳める!」と感動しました。空間でお悩みの方はぜひ一度体験してみてください。
