フレイルと運動はどのように関連している?
フレイルについて調べた際に、「運動」という言葉が目に付く機会が多いと感じた方もいらっしゃるでしょう。 フレイルと運動は、フレイル予防の観点から関わりがあるのです。 ここでは、フレイルの前提から運動との関連性までを解説します。フレイルとは?

年齢とともに心身の活力が低下し、要介護状態となるリスクが高くなった状態を「フレイル」といいます。引用元:知っておく!からはじめる介護予防・フレイル予防|東京都福祉局 健康で活発な状態と、介護を必要とする状態の中間をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。 放っておくと要介護状態へつながる可能性が上がりかねません。そのため、日常的な予防で、いかに進行を遅らせられるかが重要になってきます。 フレイルは大きく「身体的フレイル」「精神的フレイル」「社会的フレイル」の種類に分けられ、これらが連鎖することで心身の活力がどんどん低下していってしまうのです。 注1
フレイル予防の3つの柱とは?
フレイルは事前に予防をすることで防ぐことができます。フレイル状態を防ぐために必要とされているのがフレイル予防のための「3つの柱」です。 フレイル予防のための「3つの柱」とは以下の3つになります。注2運動 | 些細な運動でも継続的に行い、筋力低下を防ぐ |
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栄養 | バランスの良い食事をよく噛んでいただく |
社会参加 | 前向きな気持ちで、仲間たちと趣味やボランティアなどに打ち込む |
フレイルと運動の関連性
フレイルと運動は、フレイル予防の観点から関係があると言えるでしょう。 運動不足になると、筋力の低下をもたらします。日頃から運動する習慣がないと、体を動かすこと自体が面倒になり、普段の活動量の低下を招きます。それだけでなく、心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病を引き起こすリスクも上がります。注3 活動量の低下は、体を動かしていないことから食欲不振にもつながります。そこから、たんぱく質などの生活に必要な栄養素を接種しにくくなります。 また、運動は友人や知人などの運動仲間と共に行うことも多いでしょう。そのため、運動をしなくなってしまうと、必然的に仲間とのつながりも少なくなってしまうのです。 つまり、運動不足が原因となった結果、フレイル予防の3つの柱がすべて蝕まれてしまいかねないのです。どのような運動をすればよい?

激しい運動よりも日常的な運動を
フレイル予防のためには、激しい運動よりも日常的にできる運動の方が有効です。 例えば、以下のようなものがあげられます。- いつもエスカレーターを使っているところを階段の利用をしてみる
- 買い物への道中、自転車を利用していたところをウォーキングに変えてみる
- 日頃の家事で、意識して体を動かす
効果的な運動とは
フレイル予防に効果的な運動は、大きく分けて以下の2つのようなものと言われています。注4- 有酸素運動
- レジスタンス運動
運動を行うにあたっての注意点

無理をしないようにする
運動をすることは大切ですが、決して無理をしないようにしましょう。注7 体に痛みがある、また、体調が良好でないといった不安要素があるときに運動をすると、かえって転倒や骨折、心筋梗塞などの不安要素を増強させてしまう可能性があります。 また、慣れていない状態から体に負荷をかけすぎてしまうことも体の不調を招きかねません。 始めのうちは軽い運動やゆっくりとしたスピード感で行い、慣れてきたらできる範囲で強度を上げていくことをおすすめします。 体力に不安が残る、自身が無いという方も同様です。呼吸を止めないようにする
特にレジスタンス運動で起こりがちですが、運動をしている際にどうしても呼吸がとまってしまうことがあります。 運動中に呼吸が止まってしまうと、心臓や血流に負担がかかり、頭痛や吐き気を引き起こす可能性があります。 体に力が入っている=筋肉が収縮しているタイミングで息を吸って、体が元の状態に戻り、筋肉が伸びているタイミングで吐くという呼吸の流れを意識しながら取り組むようにしましょう。 また、呼吸の周期を長くとるのもポイントです。細切れに呼吸をしてしまうと、体感がぶれ、期待できる効果が薄れてしまう可能性があります。水分補給を怠らないようにする
運動をしていると、体内の水分が汗となって対外へ放出されてしまいます。また、高齢の方は体の水分を失いやすいです。 そのため、こまめな水分補給で体内の水分を補う必要があります。 体を動かしていれば、夏のみでなく、冬でも汗をかくことは十分に起こりえます。冬場の水分補給も怠らないように注意してください。 また、夏の暑い時期に外で運動を行うと熱中症のリスクも高まります。熱中症の予防にはスポーツドリンクや塩分補給用の飴もおすすめです。 こまめな水分補給で脱水症状を防ぎましょう。無理のない運動で日常生活を活き活きと!

参考元
注1)厚生労働省「健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ」身体的・心理的・社会的3つのフレイル 2023年7月27日
注2)公益社団法人東京都医師会「フレイル予防」健康長寿に大切な3つの柱 2023年7月27日
注3)公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「フレイルと運動」運動不足が及ぼす影響 2023年7月27日
注4)柏市「フレイルを予防するために」フレイル予防に効果7的な運動2023年7月27日
注5)公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「トレーニング:有酸素運動とは」有酸素運動の種類 2023年7月28日
注6)厚生労働省「eヘルスネット」レジスタンス運動 2023年7月28日
注7)柏市「フレイルを予防するために」フレイル予防に効果的な運動 2023年7月28日