【快眠コラム】暗くて寒い朝の寝起きを改善

2023年12月26日

神川 康子

昼が一番短い日は冬至?

今年は12月22日(金)が冬至で昼が一番短い日とされていますが、正確には少しずれているようです。

日の出が最も遅いのは1月に入ってからで、最も早い日没は冬至よりも前なので、今は少しずつ日没が遅くなっています。

でも夜明けが遅く暗い朝はもうしばらく続きそうです。

また地域によっても日の出、日没の時刻には差があり、12月22日の日出と日没の時刻は、札幌7:03-16:03(昼9時間)、東京6:47-16:32(昼9時間45分)、沖縄7:13-17:43(昼10時間30分)なので、冬至は日没の地域差が大きいことが分ります。

反対に夏至は日の出の地域差(札幌3:55-沖縄5:38)が大きくなります。

冬場に容易に起きるヒント

細かな時刻データを書いてしまいましたが、寒い冬は朝が暗くてなかなか布団やベッドから出たくないという事になりがちですよね。

そこで、この冬こそ容易に起きられるいくつかのヒントをお知らせしたいと思います。

1.睡眠時間の確保

一つ目は基本的な「睡眠時間の確保」です。

年末年始の特別な期間は忙しさだけでなく不規則にもなりがちですが、夜更かしや昼夜逆転は繰り返さないようにしてお正月休みを過ごした方が、仕事始めはスムースです。

私の初期の断眠実験では、1夜徹夜をすると元の脳の働き(脳波で測定)に戻すのに3晩かかりました。
どんなに忙しくても4時間は眠った方が次の夜の睡眠で疲労回復し、元に戻すことができました。

2.寝室内の温度

二つ目の注意点は、寝室内の温度です。

「寝室内を寒い冬でも16℃以上になるようにエアコンなどで調整」しておくと、寒くて布団から出られないという事態を避けられる事と、温度差によるヒートショックが避けられ、朝に発症しやすい循環器系の発作(脳梗塞や心臓発作など)を予防することができます。

夜中や朝一番にトイレに行くという方は、廊下やトイレも弱めで良いので暖房することをお薦めします。

現職時代は、大学生に「敬老の日は9月だけど、冬を見越して祖父母にトイレや脱衣所の暖房器具をプレゼントすると健康を気遣う想いが伝わりますよ」と薦めてきました。

3.照明器具

三つ目の起きやすくする工夫は「照明器具」です。
目覚まし音ですぐに起きられる人は睡眠にあまり問題が無いと言えるでしょう。

しかし、目覚ましをいくつかけても、大音量にしても、家族に大声で怒鳴るように起こされても起きられない人は、睡眠習慣を見直した方が良さそうです。

起きたい時刻にいきなりの大音量の音や揺り起こしなどの大きな刺激で起こされるのはとても不快なものです。実際調査の結果でも家族の大声で起こされると朝から不快で、一日中すっきりせず、勉強や仕事の能率が上がりにくいことが分っています。

そこで、少しずつ眠りを浅くして自然な目覚めを促す照明器具の実験をしたことがあります。

暗くて寒い冬の朝に寝室内で日の出を創る

これを「暗くて寒い冬の朝に寝室内で日の出を創る」というキャッチコピーで、小学生、保護者、大学生を被験者にまさに今頃の冬至前後に北陸富山で実験研究を行いました。

この照明器具は起きたい時刻を設定すると30分前から少しずつ明るくなり、起きる時刻には最大限の明るさになり起床を促します。
瞼は薄い皮膚なので照明器具の照度が徐々に上がると、脳に刺激が届き少しずつ眠りを浅くて起きやすくしてくれるのです。

その結果、小学生では自分で起床できるようになり、寝起きの良さも改善して、日中の気分や集中力が改善するという結果になりました。
この改善によって保護者は朝に子どもを起こす苦労が減り、朝の子どもの機嫌が良くなってストレスも緩和し、ゆとりが生まれて親子に良好なコミュニケーションが取れるようになったという効果が見られました。
30代~50代の保護者では自身の集中力と食欲にも改善が見られました。大学生でも予定の時刻に起きられるようになり、起床時の眠気が改善し、起床時から午前、午後の気分も良くなるという結果が得られました。

この照明器具による改善効果は、とくに睡眠が不規則な人、睡眠不足な人、運動習慣がない人に効果的であることも分りました。
私の研究結果の一部を下記のURLでみることができます。

寝室環境をサポートする研究


気持ちの良い目覚めを手に入れよう

朝が苦手という方、受験生、仕事や家事のために暗いうちから起きなければならない方、お試しいただけると良いでしょう。

その実験以来徐々に明るくなる照明器具を使用している私は、暗い冬の朝もいつも通りに起きることができています。

アンケートご協力のお願い

本記事の著者であり、エムールの睡眠・生活研究所の所長でもある神川康子から、アンケートのご協力のお願いです。
できるだけ多くの方々から広くデータを集め、睡眠の質を高めるための生活習慣の取り組みをどのくらいなされているのかを調査しています。
3分程度で完了する簡単なアンケートになっており、結果はこちらのメディアでも開示予定です。
よろしければご協力をお願いいたします。

睡眠の質を改善するための生活習慣改善の取り組みアンケート

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執筆者/監修
Author

神川 康子

富山大学 名誉教授 博士(学術) 。一般社団法人日本睡眠改善協議会理事。日本眠育協議会理事。富山県公安委員会委員。富山県社会福祉協議会理事。40年以上に渡り、睡眠研究を行う。年間50回を超える講演を通して、睡眠教育の啓発に尽力。睡眠環境学入門ほか寄稿多数。