どのような運動をすればよい?無理のない運動でフレイル予防
2023年8月1日
エムール睡眠・生活研究所
目次
最近よく聞く「フレイル」という単語ですが、実は運動と深い関わりがあり、運動をすることはフレイルの予防にも繋がります。
そこで今回は、フレイルと運動の関係性と、フレイルを予防するにあたってどのような運動をすればよいかをお伝えします。日常的に運動をされる方もそうでない方も、この際に体をうごかすことを意識してみてくださいね。
フレイルと運動はどのように関連している?
フレイルについて調べた際に、「運動」という言葉が目に付く機会が多いと感じた方もいらっしゃるでしょう。
フレイルと運動は、フレイル予防の観点から関わりがあるのです。
ここでは、フレイルの前提から運動との関連性までを解説します。
フレイルとは?
「フレイル」という言葉は聞く機会があっても、「フレイルとは一体何?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
東京都福祉局はフレイルのことを以下のように定義しています。
年齢とともに心身の活力が低下し、要介護状態となるリスクが高くなった状態を「フレイル」といいます。
引用元:知っておく!からはじめる介護予防・フレイル予防|東京都福祉局
健康で活発な状態と、介護を必要とする状態の中間をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
放っておくと要介護状態へつながる可能性が上がりかねません。そのため、日常的な予防で、いかに進行を遅らせられるかが重要になってきます。
フレイルは大きく「身体的フレイル」「精神的フレイル」「社会的フレイル」の種類に分けられ、これらが連鎖することで心身の活力がどんどん低下していってしまうのです。 注1
フレイル予防の3つの柱とは?
フレイルは事前に予防をすることで防ぐことができます。フレイル状態を防ぐために必要とされているのがフレイル予防のための「3つの柱」です。
フレイル予防のための「3つの柱」とは以下の3つになります。注2
運動 | 些細な運動でも継続的に行い、筋力低下を防ぐ |
---|---|
栄養 | バランスの良い食事をよく噛んでいただく |
社会参加 | 前向きな気持ちで、仲間たちと趣味やボランティアなどに打ち込む |
これらを日常生活に組み込んでいくことがフレイルの予防につながっていきます。
フレイルと運動の関連性
フレイルと運動は、フレイル予防の観点から関係があると言えるでしょう。
運動不足になると、筋力の低下をもたらします。日頃から運動する習慣がないと、体を動かすこと自体が面倒になり、普段の活動量の低下を招きます。それだけでなく、心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病を引き起こすリスクも上がります。注3
活動量の低下は、体を動かしていないことから食欲不振にもつながります。そこから、たんぱく質などの生活に必要な栄養素を接種しにくくなります。
また、運動は友人や知人などの運動仲間と共に行うことも多いでしょう。そのため、運動をしなくなってしまうと、必然的に仲間とのつながりも少なくなってしまうのです。
つまり、運動不足が原因となった結果、フレイル予防の3つの柱がすべて蝕まれてしまいかねないのです。
どのような運動をすればよい?
フレイル予防のために運動が大切だということはわかりました。しかし、一体どのような運動をすればよいのか悩む方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、フレイル予防にあたってどのような運動をすればよいかをご紹介します。
激しい運動よりも日常的な運動を
フレイル予防のためには、激しい運動よりも日常的にできる運動の方が有効です。
例えば、以下のようなものがあげられます。
- いつもエスカレーターを使っているところを階段の利用をしてみる
- 買い物への道中、自転車を利用していたところをウォーキングに変えてみる
- 日頃の家事で、意識して体を動かす
どれも難しい技術を要する行動ではありません。
しかしながら、無理に体を動かしてしまうと、体の痛みが生じたり、痛みが強くなったりしてしまう可能性も生じてしまいます。
できるだけ簡単に行えて、日常に取り入れられそうな運動を心掛けると、継続的に体を動かすことも容易になってくるでしょう。
効果的な運動とは
フレイル予防に効果的な運動は、大きく分けて以下の2つのようなものと言われています。注4
- 有酸素運動
- レジスタンス運動
有酸素運動は、長時間継続して行える運動のことを指します。注5 心肺機能を高め、体力や持久力の向上を促すという効果が期待できます。
具体例としては、ウォーキングや水泳、エアロビクスダンスなどがあげられます。
レジスタンス運動は筋力トレーニングのことを指します。注6
「レジスタンス」とは、「抵抗」を意味し、筋肉に抵抗をかける動作を行う運動です。スクワットやランジのような一部の筋肉に負荷をかけていく運動がその一例です。
有酸素運動とは違い、ご自宅で簡単にできることが多いのも特徴です。
いずれも激しめに行うのではなく、はじめのうちは無理のない範囲で行いましょう。慣れてきたら少しずつ運動量を増やしていくことがポイントです。
これらを週2~3回程度、日常に取り入れられると、フレイル予防に対する効果が期待できます。
運動を行うにあたっての注意点
一口に運動をしようといっても、いくつか注意点があります。
どれも当たり前と思われるかもしれませんが、運動を行うには大切なことです。運動をする際にはこれらを心掛けることを参考にしてくださいね。
無理をしないようにする
運動をすることは大切ですが、決して無理をしないようにしましょう。注7
体に痛みがある、また、体調が良好でないといった不安要素があるときに運動をすると、かえって転倒や骨折、心筋梗塞などの不安要素を増強させてしまう可能性があります。
また、慣れていない状態から体に負荷をかけすぎてしまうことも体の不調を招きかねません。
始めのうちは軽い運動やゆっくりとしたスピード感で行い、慣れてきたらできる範囲で強度を上げていくことをおすすめします。
体力に不安が残る、自身が無いという方も同様です。
呼吸を止めないようにする
特にレジスタンス運動で起こりがちですが、運動をしている際にどうしても呼吸がとまってしまうことがあります。
運動中に呼吸が止まってしまうと、心臓や血流に負担がかかり、頭痛や吐き気を引き起こす可能性があります。
体に力が入っている=筋肉が収縮しているタイミングで息を吸って、体が元の状態に戻り、筋肉が伸びているタイミングで吐くという呼吸の流れを意識しながら取り組むようにしましょう。
また、呼吸の周期を長くとるのもポイントです。細切れに呼吸をしてしまうと、体感がぶれ、期待できる効果が薄れてしまう可能性があります。
水分補給を怠らないようにする
運動をしていると、体内の水分が汗となって対外へ放出されてしまいます。また、高齢の方は体の水分を失いやすいです。
そのため、こまめな水分補給で体内の水分を補う必要があります。
体を動かしていれば、夏のみでなく、冬でも汗をかくことは十分に起こりえます。冬場の水分補給も怠らないように注意してください。
また、夏の暑い時期に外で運動を行うと熱中症のリスクも高まります。熱中症の予防にはスポーツドリンクや塩分補給用の飴もおすすめです。
こまめな水分補給で脱水症状を防ぎましょう。
無理のない運動で日常生活を活き活きと!
日々の生活に運動を取り入れることは、フレイル予防の観点で有効であることがわかりました。
しかし、やりすぎてしまったり、無理をして体を動かしてしまうと、体にリスクが伴いかねず、状態の悪化につながりかねません。
健康な状態を保ち、活き活きとした生活を送るためにも、日常に少しずつ運動を取り入れることが大切です。無理のない範囲で、フレイル予防に努めましょう!