マットレスのダニ対策|退治・除去・予防に分けて解説

2023年2月6日

エムール睡眠・生活研究所

マットレスのダニ対策は、退治と除去、予防が大切です。まずはダニ対策の必要性とダニが発生する条件から、ダニの退治と除去を解説します。ダニを発生させない予防方法も合わせて確認しておきましょう。

マットレスにダニ対策が必要な理由

マットレスにダニ対策が必要とされるのは、ダニが人間に有害であるためです。

人間は、ダニによってアレルギー症状を起こす場合があります。発症の原因は、ダニの死がいやフンなどの細かい粉末を体内に吸い込むことです。また、肌をさされると、かゆみを伴います。

そんなダニは、人間のフケやアカなどをエサにして住み着くため、これらが溜まりやすいマットレスは清潔な状態を維持する必要があるのです。

マットレスに発生するのは、ほとんどがヒョウヒ

ダニが発生する2つの条件

ダニは、エサが十分に得られて、ダニにとって適度な温度・湿度が保たれている場所に発生します。

そして、ほとんどが温暖湿潤気候である日本は、ダニにとって住みやすい国です。しっかりと対策するために、まずは発生条件を把握しておきましょう。

1. 人のフケやアカ、汗、食品クズなどがある場所

ダニのエサであるフケ・アカ・汗・食品のクズが溜まりやすい場所は、ダニが発生しやすいです。

マットレスは、これらの汚れがよく溜まります。例えば、寝ている間にフケやアカが落ちたり、汗が染み込んだりすることが考えられるでしょう。また、服に付いていた食品のクズが、寝転んだときにマットレスへと落ちてしまうかもしれません。

このように、マットレスはダニのエサとなるものが多く、住み着きやすいといえます。

2. 温度20~30℃、湿度60~80%の場所

ダニが繁殖しやすいのは、温度20~30℃、湿度60~80%の環境です。

日本では、ほとんどの地域で6~9月がこの条件に当てはまりやすいとされています。また季節に関係なく、暖房と加湿器を同時に使用している部屋、風通しの悪い部屋なども注意が必要です。

寝室で上記の温度・湿度を維持してしまうと、マットレスにダニが増殖してしまう恐れがあります。

マットレスのダニ対策|3つの退治方法

自宅でできる主なダニ退治方法は、専用のダニ駆除アイテムや、布団乾燥機によるものです。自宅での退治が難しい場合は、クリーニング業者に依頼するのも良いでしょう。ここでは、3つの退治方法を紹介します。

1. ダニ駆除薬剤を利用する

ダニ専用の駆除剤は退治に効果的です。

くん煙・くん蒸のようなタイプは、マットレスだけでなく、室内のあらゆる場所にまで薬剤が行き届き、広範囲でダニを退治できます。ただし、薬剤によって家電が故障したり、植物が傷んだりする可能性があるので、これらは使用範囲から避難させておきましょう。

スプレータイプは、ピンポイントで退治したいときに適したアイテムです。マットレスの素材によっては変色やシミを引き起こす可能性があるため、目立たない場所でテストしておくことをおすすめします。

2. 布団乾燥機を使う

布団乾燥機の熱でダニを退治するのも手です。ダニは60℃以上、または20~30分間50℃以上の環境にいると死滅します。

布団乾燥機の効果的な使用方法は、下記の通りです。

  1. マットレスが温まりやすくなるよう、暖房器具で室温を上げておく
  2. 表裏ともに乾燥機を当てる(各1時間以上は必須)

1度の乾燥ではすべてのダニは死滅しないため、1日2回を3日間連続で行うようにしましょう。

ただしウレタンマットレスやファイバーマットレスのような熱に弱いマットレスの場合、布団乾燥機を使用しても問題がないかの確認が必須です。

3. クリーニング業者へ頼む

自宅でのダニ退治が難しいときは、クリーニング業者へ依頼するのも良いでしょう。しかし、マットレスの種類によっては業者で対応できない場合もあります。

<クリーニング可能なマットレスの種類>

  • ポケットコイル
  • ボンネルコイル
  • ファイバー

<クリーニングが難しいマットレスの種類>

  • ウレタン(低反発・高反発)
  • ラテックス

なかには、ウレタン系のマットレスに対応しているクリーニング業者もありますが、現在は数が限られています。

マットレスのダニ対策|3つの除去手順

退治後は、死滅したダニを掃除機で除去しましょう。マットレスに散乱した死がいやフン、エサとなるフケなどを吸い込み、きれいにするためです。ここではダニの除去手順を解説します。

1. シーツを取り外す

まず始めに、マットレスに被せているシーツを取り外しましょう。シーツを被せた状態よりも、しっかりと掃除機でダニを吸い込めます。

2. 掃除機の吸込口を清潔にする

続いて、掃除機の吸込口をきれいにします。吸込口が汚い状態で掃除機をかけると、余計にマットレスを汚してしまうかもしれません。ピンセットや固く絞った濡れ布巾で、清潔にしてあげましょう。

3. マットレスの両面に掃除機をかける

掃除機の吸込口をきれいにしたら、いよいよマットレスの裏表に掃除機をかけます。

掃除機は小さくゆっくりと動かし、上下左右とあらゆる方向に動かすと効果的。かける時間はマットレスの大きさによって変わりますが、片面だいたい2分が目安です。

このとき、ダニの死がいやフンなどが舞い散る可能性があるので、換気をしておきましょう。

湿気の取れる温風機能や、ダニの抑制効果のあるUV照射機能がついた布団専用のクリーナーがあるとより効果が期待できます。徹底的なダニ除去には、隙間のゴミまで掻き出せるブラシ付き掃除機がおすすめです。丸洗いのできないマットレスにも向いています。

マットレスのダニ対策|5つの予防方法

退治・除去の後は、再び発生させないために予防することが大切です。ダニ対策が施されたアイテムを使用したり、日々のお手入れをしたりといった予防方法を5つ紹介します。

1. 防ダニ加工された寝具を使用する

マットレスに限らず、使用する寝具はできるだけ防ダニ加工されたものをおすすめします。防ダニ加工とは、ダニを寄せつけたり、増殖させたりするのを防止する加工のことです。

薬剤加工と高気密加工の2種類があります。薬剤を使用しているものも人体に影響はないとされていますが、心配な場合は高気密加工のマットレスを検討してみても良いかもしれませんね。

2. 除湿シートや敷きパッドを利用する

除湿を目的とした除湿シートや敷きパッドは、ダニの発生条件である湿度を下げるのに効果的です。ダニが好む環境ではなくなり、繁殖を防ぎます。マットレスの種類を選ばず使用できるため、手軽に取り入れられるのも魅力です。

3. 寝室や寝具をこまめに換気する

寝室はこまめに換気しましょう。湿気がこもるのを防ぎ、ダニが住み着きにくい環境を作ります。

寝室だけではなく、寝具自体の換気も大切です。朝起きてすぐに掛け布団をめくっておくだけでも、通気性を良くして湿気を溜まりにくくします。たったのひと手間で予防できるので、ぜひ習慣として取り入れてみてくださいね。

4. 壁に立てかけ通気性を良くする

マットレスを2~3週間に1度立てかけて、表裏ともに換気するのもダニ予防に効果的です。マットレスにこもった湿気を除去し、ダニが発生しづらい状態にできます。

5. 防ダニ効果の高いマットレスに変える

買い換えを検討している場合は、防ダニ効果のあるマットレスを次の選択肢にするのはいかがでしょうか。

防水生地で高反発ファイバー素材のマットレスは、高い防ダニ効果が期待できます。通気性が良く、ダニ忌避加工済みの綿が少ないタイプもチェックしてみてください。

マットレスのダニ対策をして、快適な睡眠時間にしよう

マットレスには、人間のフケやアカ、食品のクズといった汚れが溜まりやすい上、湿度が上がりやすいため、ダニにとって好環境です。普段から退治・除去・予防の3ステップを丁寧に行い、あなたの快適な睡眠時間を守ってくださいね。

執筆者/監修
Author

エムール睡眠・生活研究所

  • 【所長・主席研究員】神川 康子 富山大学 名誉教授 博士(学術)一般社団法人日本睡眠改善協議会理事。日本眠育協議会理事。富山県公安委員会委員。富山県社会福祉協議会理事。
  • 【所属有資格者】 日本睡眠改善協議会認定 上級睡眠改善インストラクター 1名/睡眠改善インストラクター 6名 日本睡眠教育機構認定 睡眠健康指導士上級 2名/睡眠健康指導士 11名
  • 【活動内容】 「続けられる具体的な睡眠改善」をテーマに、専門的な見地からのデータ収集と分析及びソリューション開発を目的として設立。 寝具や寝室環境に関する調査研究や睡眠教育など広く社会に役立つ研究開発と知識啓発を行っている。 詳細はこちら https://nemuri-kurashi.jp/activities/