マットレスの選び方|性能・種類・悩み別にわかりやすく解説
2023年1月19日
エムール睡眠・生活研究所
マットレスの選び方には、さまざまな検討項目があるため、どのようにして選べば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか。今回は、自分に合ったマットレスを見つけるための選び方の基準を「性能・種類・その他・悩み」の4つに分けて解説します。
【性能】マットレスの選び方3つ
マットレスの性能は、主に「体圧分散性」「耐久性」「反発弾性」の3つがあります。
それぞれの性能と基準となることを確認していきましょう。
<圧分散性>
マットレスでいう体圧分散性とは、寝ている時にかかる体への圧力を分散する性能のことです。理想の寝姿勢は背骨がゆるやかなカーブを描いたS字型ですが、それを目指すには自分に合う硬さを見つけることが不可欠です。
例えば硬すぎるマットレスでは体圧が分散できず、頭や背中、お尻といった凸がある部分に負荷が集中してしまいます。反対に柔らかすぎるマットレスでは、腰が沈みやすくなり、腰痛の原因にもなり得るでしょう。
硬さの目安となるのが、N(ニュートン)です。一般的に、100N未満が低反発マットレス、100N以上が高反発マットレスとされています。しかし、体重によって反発の度合いが変わるため、自分の体重に見合ったニュートンを選ぶ必要があるでしょう。
体重別のニュートンの目安は以下の通りです。
体重 | 体圧分散性(N) |
---|---|
50kg以下 | 100N |
50〜75kg以下 | 150N前後 |
75kg以上 | 180N〜 |
硬さには慣れや好みもあるため、あくまで参考程度に覚えておきましょう。
<耐久性>
マットレスの耐久性はウレタンフォームの密度によって決まり、その数値はD(ディシティー)で表します。
ウレタンフォームの密度と耐久年数の目安は以下の通りです。
密度(D) | 耐久年数目安 |
---|---|
20D以下 | 数ヵ月〜1年程度 |
25D前後 | 1〜3年程度 |
30D前後 | 3〜10年程度 |
40D以上 | 10年以上 |
また、コイル系のマットレスの場合は、炭素とマンガンの含有量によって耐久性が決まります。
表記例は以下の通りです。
『SWRH 72 A 硬鋼線B種』
それぞれ左側から解説します。
(1)種類
-
- SWRH:硬鋼線
-
- SWRS:ピアノ線
(2)炭素含有量
数値が高くなるほど、硬度も高くなります。
(3)マンガン含有量
-
- A:耐久性が低い
-
- B:耐久性が高い
(4)引張強度
種類 | 強度 |
---|---|
SWRH(硬鋼線) | (弱)A<B<C(強) |
SWRS(ピアノ線) | (弱)V<B<A(強) |
種類によって、同じAでも強弱が異なります。
一般的な目安として、炭素含有量が72以上、マンガン含有量がBのマットレスは、耐久年数が5〜8年程度といわれています。品質表示に記載されているため、マットレスを選ぶ際にはチェックしてみましょう。
<反発弾性>
反発弾性は、正しい寝姿勢の保ちやすさに関わります。あお向けだけでなく、横向きやうつ伏せになっても寝心地の良さを感じられるのがポイントです。
基準は鉄球を落とした際の跳ね返り率で、50%以上が高弾性と定められています。高弾性マットレスだと、余計な力を入れずに寝返りが打てるため、眠りを妨げにくくなります。
【種類】マットレスの選び方5つ
マットレス内の素材には主にスプリングコイル、ウレタン、ファイバー、ラテックスの4種類があります。
それぞれの特徴からメリットデメリットなどを確認し、どんな人に向いているのかを解説していきます。
<スプリングコイル>
・ボンネルコイル
らせん状に巻いたコイルは連結スプリングとも呼ばれ、コイル同士がつながっています。弾力面が丈夫なため体をしっかり支えてくれるほか、耐久性や通気性があり、寝返りしやすいのもメリットです。
一方、横揺れを感じやすいため、隣の人の振動を感じやすいデメリットがあります。一人で寝る人や湿気が気になる人におすすめです。
・ポケットコイル
コイルスプリングが1つ1つ筒形の袋に入った状態で並べられ、独立したコイルの動きによって体に沿って体重を支えます。
体圧分散性が高く、体にフィットした寝心地が特徴です。ただし通気性が低く、価格がボンネルコイルに比べ高くなる点がデメリットです。
眠りが浅い人や体格が良い人、正しい寝姿勢を維持したい人に向いています。
<ウレタン(低反発性・高反発性・高弾性)>
ウレタンには低反発・高反発・高弾性の3種類があり、それぞれ反発力が異なります。
・低反発性
体が包み込まれるような柔らかさが特徴で、横揺れが気になることもありません。一方で寝返りがしづらいデメリットがあります。小柄な人や柔らかい寝心地を求める人におすすめです。
・高反発性
体が沈みにくいため、寝姿勢を維持しやすく、腰に負担がかかりにくいのが特徴です。ただし小柄な人には、少し硬く感じる場合もあります。体格が良い人や腰痛が気になる人におすすめです。
・高弾性
柔軟性や弾力性に優れているのが特徴です。寝返りしやすく体に負担がかかりにくいため、朝疲れがとれていない人に向いています。
<ファイバー>
ポリエチレン繊維を原料としたファイバーは、硬めの寝心地と通気性が特徴です。湿気が中にこもりにくいため、カビやダニの発生リスクが低くなります。
最大のメリットはシャワーなどで丸洗いできることです。ただし70度~90度の熱湯で溶ける可能性があるため、温度設定には注意しましょう。
湿気が気になる人や清潔感を保ちたい人におすすめです。
<ラテックス>
ゴムの木から採取した樹液から生まれる、ラテックスを素材としたマットレスです。
ゴム特有の弾力性と柔らかさがあり、絶妙な反発具合で体圧分散性にも優れています。一方で通気性が低く、湿気や蒸れを感じやすい点がデメリットです。
比較的新しいタイプのマットレスであるため、今までにない寝心地を試してみたい人におすすめです。
【その他】マットレスの選び方4つ
マットレスはサイズやタイプ、厚みや重量もさまざまです。これらの選び方のポイントをチェックしていきましょう。
<サイズ>
サイズは寝返りしやすいかどうかで選ぶのがポイントです。寝返りを打ってもはみ出すことなく、十分ゆとりがあるサイズが良いでしょう。
自分の横幅を測り、左右+15cmずつスペースを取れる大きさのマットレスがおすすめです。
<タイプ>
マットレスには三つ折りタイプや六つ折りタイプなど、折りたたみ式のものもあります。折りたたみタイプなら場所を取らずに収納できるメリットがあります。
また、移動させたり持ち運んだりするのにも便利です。
<厚み>
マットレスの厚さも重視したいポイントです。厚みが薄いものだと体が痛くなったり寝心地が悪くなったりする可能性があります。
コイル系のマットレスなら厚み25cm前後がおすすめです。ある程度の厚みがあった方が寝心地が良く、耐久性も高いからです。
コイル以外のマットレスは体重によって適した厚みは変わってきます。
体重別による厚みの目安は以下の通りです。
体重 | 厚み(cm) |
---|---|
40kg前後 | 7cm〜 |
70kg前後 | 10cm〜 |
100kg前後 | 13cm〜 |
<マットレスの重量>
マットレスの重量は、干したり移動させたりする際に大きく関わります。
コイル系のマットレスは比較的重く、最も重量があるのはボンネルコイルです。コイル以外のマットレスはそこまで重くないといえます。
ただし、ウレタンは密度が高くなるほど重量が増す傾向があるため、耐久性が高くなるほど重くなると覚えておくと良いでしょう。
【悩み】マットレスの選び方2つ
最後に悩み別でマットレスの選び方を解説します。
<背中や腰の痛みが心配な人>
低反発のマットレスや薄いマットレスは避け、反発性や弾力性のあるマットレスがおすすめです。柔らかいマットレスだと体が沈み、荷重が腰や背中にかかりすぎる恐れがあります。
おすすめはウレタンの高反発性や高弾性のマットレスです。体重別の硬さの目安は「【性能】マットレスの選び方3つ」内の「1.体圧分散性」の表を参考にしてください。
<横向きで寝る人>
横向きで寝る人は高反発や硬いマットレスだと、肩こりや疲れが溜まりやすい傾向にあります。そのため、硬さ100N未満の低反発ウレタンやポケットコイルがおすすめです。
柔らかく包み込んでくれるような寝心地で、横向きでも疲れることなく朝までグッスリ眠れるでしょう。
自分に合うマットレスの選び方をおさえよう
マットレスはみな同じ様に見えて、素材の種類や性能などに違いがあります。
体重や体格、それぞれの悩みによって適したマットレスは異なるため、選ぶ際には自分の寝姿勢や朝起きた時の状態などを思い返してみると良いでしょう。
マットレスの買い換えを検討している人は、今回の選び方を参考に自分に合ったマットレスを選んでみてはいかがでしょうか。
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