マットレスの直置きは可能?メリット・デメリットとカビ対策も解説

2023年1月10日

エムール睡眠・生活研究所

マットレスはベッドフレームや敷き布団と一緒に使うものですが、直置きも不可能ではありません。しかし、直置きによるデメリットも存在するので、事前に知っておくことが大切です。

今回はマットレスの直置きは問題ないのか、実践した場合のメリット・デメリットとともに、マットレスの直置きを少しでも快適にするコツと、日々のメンテナンス方法を紹介します。

マットレスの直置きはしても良い?

通常、マットレスはベッドフレームの上や敷き布団の下に敷いて使用します。床への直置きは可能なものの、使い方としてはおすすめできません。理由は後述しますが、マットレスの傷みや体の不調につながる恐れがあるためです。

とはいえ、部屋をなるべく広く使いたい人や、引っ越しが多い人など、中にはマットレスを直置きして使っている人もいます。

もし直置きする場合は、湿気を逃がしやすいマットレスを選んだり、置き方の工夫をしたりと、ひと手間加えることをおすすめします。

直置きのメリット

マットレスの直置きには、デメリットだけではなくメリットもあります。どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

圧迫感の軽減

ベッドは高さがあるため、部屋に置くと圧迫感を覚えることがあります。マットレスを直置きするとベッドがない分、高さを抑えられます。圧迫感が軽減されると、部屋が広く感じられるでしょう。

落下防止

子どもをベッドに寝かせる場合に気を付けたいのが転落事故です。ベッドに柵を設けたとしても、何かの拍子に落下してしまう恐れがあります。

一方、マットレスを直置きすると、仮に子どもが寝返りを打って床に落ちてしまったとしても、大きなケガにはつながりにくいでしょう。マットレスの周りにクッション性のあるものを敷いておくとより安全性が高まり、親としても安心できます。

コストを抑えられる

マットレスを直置きするとベッドが不要になります。新生活を始める、家具一式を新調するなど、新たに家具を揃える場合はベッドの購入費用を抑えられるのもメリットの一つです。

また、コストを抑えられた分、マットレスにお金をかけて睡眠の質を高めるのも一案ではないでしょうか。

引っ越しがラク

ベッドフレームがあると、引っ越し時に分解する必要があります。引っ越し後も新居で組み立て作業が発生するので、人によっては手間に感じるかもしれません。

もしマットレスのみであれば、そのまま移動できます。引っ越し後も部屋から部屋への持ち運びが簡単です。

直置きのデメリット

マットレスの直置きを考えている時は、メリットに加えてデメリットも把握しておきましょう。直置きはマットレスの寿命や健康に関わるため注意が必要です。

湿気が溜まりやすい

人は睡眠中に大量の汗をかいています。ベッドフレームの上にマットレスを敷いていれば汗による湿気を逃せますが、直置きすると湿気が放出される隙間がありません。その状態が続くと、マットレスに湿気が溜まり、カビの発生につながります。

また、内側に溜まった湿気はマットレスの劣化の原因にもなります。ウレタンタイプの場合はへたりや反発力の低下を、スプリングタイプは内側にあるスプリング(バネ)の傷みを引き起こすこともあるため注意が必要です。

その他、床と接する部分に生じる結露からもカビが発生しやすくなります。

ハウスダストを吸い込みやすい

マットレスを直置きすると、ベッドフレームを使用する場合と比べて床との距離が近くなるため、床や空中に舞っているハウスダストを吸い込みやすくなります。

毎日掃除していても、目には見えないホコリやゴミは残っているもの。ハウスダストを睡眠中に吸い込んでしまうと、体の不調につながる恐れがあります。

床の冷気が伝わりやすい

床との距離が近いことによるもう一つのデメリットが、床冷えです。直置きすると床からの冷気が伝わりやすく、体が冷えてしまうことも。

特に、厚みのないマットレスだと床とさらに近づくため、より冷気が伝わりやすくなります。冬場は暖房を使っても、ベッドで寝る時よりも室温を低く感じるかもしれません。

マットレスの直置きを快適にするコツ

少しの工夫で、マットレスの直置きを快適にすることは可能です。マットレスの直置きをしたい人へ向けて、すのこベッドフレームや他アイテムを使用する方法を紹介します。

すのこを使う

マットレスのカビを防ぐコツは、床との隙間を作ること。そこで役立つのがすのこです。マットレスの下に敷くと床との隙間ができ、通気性がアップします。湿気が逃げることで、マットレスにカビが発生するのを防げるでしょう。

ただし、畳の上にすのこを置くと傷付く恐れがあります。マットレスの下に敷くすのこは、ベッドフレーム用のものがおすすめです。

アルミシートを使う

すのこを用意するのが難しい、またはなるべくスペースを有効活用したい場合は、アルミシートを使う方法があります。

使い方はすのこと同じで、マットレスの下に敷くだけ。アルミシートが睡眠中の熱を吸収し、床とマットレスの間に発生する結露を防げます。

ベッドパッド、除湿シートを使う

すのこと併せて使いたいのが、ベッドパッド除湿シートです。マットレスの上に敷いておくと睡眠中の汗が吸収され、内部に染み込むのを防げます。

また、ベッドパッドや除湿シートにはマットレスに汚れが付着するのを防ぐ役割もあります。マットレスを長く使うには汚れやカビの防止も重要なので、ベッドパッドや除湿シートは定期的に交換して清潔に保ちましょう。

マットレスを直置きする場合のメンテナンス方法

マットレスを直置きしつつ劣化を防ぐには、毎日のお手入れやメンテナンスが重要です。特に意識したいのは、乾燥・湿度・掃除の3点。それぞれ見ていきましょう。

乾燥|マットレスを乾燥させる

マットレスのカビを防ぐため、内部に溜まった湿気を逃がしましょう。上で紹介したすのこや除湿シートなどの使用に加え、マットレスを定期的に乾燥させます。

布団乾燥機があると簡単に乾燥させられますが、ない場合はマットレスを壁に立てかけるだけでも十分です。この方法であれば、床に溜まった湿気も逃がせます。

湿度|室内の湿度を下げる

直置きすることでマットレスに湿気が溜まらないようにするには、室内の湿度を下げることも大切です。エアコンの除湿機能や除湿剤を使い、室内の湿度を下げましょう。

その他、家具と家具の隙間をあけたり、部屋を換気したりする方法も湿度対策に有効です。電気代や部屋の間取りなどと相談しつつ、ベストな方法を見つけてみてください。

掃除|掃除をしてマットレスを清潔に保つ

マットレスを直置きすると、床に溜まったゴミやホコリが付着します。ハウスダスト対策として、床やマットレスを掃除しましょう。

可能であれば床とマットレスは毎日掃除機をかけ、ベッドパッドや各種シーツも定期的に洗濯、交換します。清潔な状態を保つことで、マットレスを直置きしてもハウスダストを気にせず快適に眠れるでしょう。

マットレスの直置きはできるが工夫は必要

今回紹介したように、マットレスを直置きで使うことは可能です。しかし、湿気によるカビの発生リスクや、ハウスダウストの吸引など、デメリットは存在します。

マットレスを直置きする場合は、下にすのこを敷いたり定期的に乾燥させたりと、一工夫すると快適になるでしょう。質の良い睡眠のため、そして健康のためにも、マットレスの直置きを考えた際はプラスアルファの工夫をしてみてください。

執筆者/監修
Author

エムール睡眠・生活研究所

  • 【所長・主席研究員】神川 康子 富山大学 名誉教授 博士(学術)一般社団法人日本睡眠改善協議会理事。日本眠育協議会理事。富山県公安委員会委員。富山県社会福祉協議会理事。
  • 【所属有資格者】 日本睡眠改善協議会認定 上級睡眠改善インストラクター 1名/睡眠改善インストラクター 6名 日本睡眠教育機構認定 睡眠健康指導士上級 2名/睡眠健康指導士 11名
  • 【活動内容】 「続けられる具体的な睡眠改善」をテーマに、専門的な見地からのデータ収集と分析及びソリューション開発を目的として設立。 寝具や寝室環境に関する調査研究や睡眠教育など広く社会に役立つ研究開発と知識啓発を行っている。 詳細はこちら https://nemuri-kurashi.jp/activities/