マットレスの種類別・汚れ別の洗い方|キレイに保つコツも紹介
2023年2月1日
エムール睡眠・生活研究所
目次
マットレスの洗い方はマットレスの素材によって異なり、素材に合っていない洗い方をすると劣化を速める可能性があります。
この記事ではマットレスの種類に合った基本の洗い方や汚れ別の洗い方、マットレスをきれいに保つコツを紹介します。
「自宅でマットレスを洗いたい方」や「マットレスをきれいに使い続けたい方」はぜひ参考にしてください。
【種類別】マットレスの基本の洗い方4つ
マットレスの種類別に洗い方を紹介します。マットレスには主に以下の「スプリング」「ウレタン」「ファイバー」「ラテックス」の4種類があります。
それぞれ使用されている素材によって水に弱かったり熱に弱かったりするため、洗う際は注意が必要です。
1.スプリングマットレス(ボンネルコイル・ポケットコイル)
スプリングマットレスは内部に金属のコイルが内蔵されているため、水洗いができません。汚れてしまった場合は部分的なシミ抜きを行うか、クリーニング業者へ依頼の2択です。
今回は「部分的なシミ抜きの方法」を紹介します。
<使用するもの>
- 中性洗剤(食器用洗剤でも可)
- タオル(数枚)
<スプリングマットレスの洗い方>
- 中性洗剤を薄めた水にタオルを浸して軽く絞る
- マットレスの汚れた箇所を1のタオルで叩き洗いをする
- 汚れが落ちたら通常の水を含ませて絞ったタオルで中性洗剤を拭き取る
- 乾いたタオルでマットレスの水分を吸い取る
中性洗剤を含ませたタオルで叩き洗いをするときは、マットレスの汚れをタオルに移すようなイメージでリズミカルに叩きましょう。また、汚れが広がらないように、外側から内側に向かって叩くようにしてください。
効率のいい叩き洗いにはタオルのこまめな取り替えがポイントです。汚れきったタオルではマットレスの汚れを吸い取り切れないため、数枚用意しておきましょう。
2.ウレタンマットレス
ウレタンマットレスの中材であるウレタンは、水に濡れることにより劣化してしまう恐れがあります。無膜ウレタンや爆膜ウレタンと呼ばれる特殊な加工がなされているものを除き、水洗いができないものがほとんどです。まず水洗い可能かを確認しましょう。そのため、基本的に中材は洗わずに、マットレスに付属の側生地(カバー)を外して洗います。また、もともとマットレスに付属している側生地が外れるタイプと外れないタイプがあります。両者の違いによっても洗い方が変わってくるので注意してください。
最初に側生地が外れるウレタンマットレスの洗い方」を解説します。
<側生地が外れるウレタンマットレスの洗い方>
- 側生地を外して、洗濯表示を確認する
- 側生地が洗濯可能であれば、洗濯機を使用して洗う(洗濯ネットを使用すると摩耗しにくい)
- 側生地が手洗いの場合は、水で押し洗いをして、よく水気を切る
- 中材のウレタンは風通しのよい場所で日陰干しを行う
側生地が傷まないよう、無理に絞ったり引っ張ったりしないことがポイントです。また、中材のウレタンは日光や熱に弱く天日干しをすることも傷める要因になるります。風通しのよいところで陰干しをしてください。
<側生地が外せないウレタンマットレスの洗い方>
側生地が外せないタイプのウレタンマットレスはスプリングマットレスと同様に部分的なシミ抜きを行います。
- 中性洗剤を薄めた水にタオルを浸して軽く絞る
- マットレスの汚れた箇所を、1のタオルで叩き洗いをする
- 汚れが落ちたら、きれいな水を含ませて絞ったタオルで中性洗剤を拭き取る
- 乾いたタオルでマットレスの水分をしっかりと乾くまで吸い取る
ただしウレタンマットレスは水に弱いため、水拭きする際はマットレスに水を浸透させすぎないように注意してください。
もしマットレス全体に汚れが広がっている場合は、自力で汚れを落とすことは難しいため、専門のクリーニング業者へ依頼することをおすすめします。
3.ファイバーマットレス
中材がポリエチレン繊維でできているファイバーマットレスは丸洗いが可能で、お風呂場で簡単に洗うことができます。
ただし適切な水温はメーカーによって異なり、主なメーカーでは40℃以下を推奨しています。洗う際はあらかじめ洗濯表示や取扱説明書をよく確認してから洗いましょう。
<ファイバーマットレスの洗い方>
- 側生地を外し、洗濯表示を確認する
- 洗濯可能なら、洗濯機にて洗う
- マットレス本体は40℃以下のお湯で流し洗いをする
- よく水を切ってから陰干しする
ファイバーマットレスは水洗いでも十分汚れを落とせますが、汚れが気になる場合は中性洗剤を使用して洗うこともできます。
<中性洗剤を使用したファイバーマットレスの洗い方>
- 側生地を外し、洗濯表示を確認する
- 洗濯可能なら、洗濯機にて洗う
- 浴槽に40℃以下の水を溜め、中性洗剤を入れてよく混ぜる
- マットレス本体を浴槽の水に浸し、足で踏んで洗う
- マットレス本体を浴槽から出してよくすすぐ
- 浴槽にもう一度40℃以下の水を溜める
- マットレス本体を浴槽の水に浸し、洗剤が落ちきるまで足で踏んで洗う
- よく水を切ってから陰干しする
4.ラテックスマットレス
天然素材であるラテックスマットレスは濡れると劣化してしまうため、水を使用して洗うことができません。どうしても汚れが気になる場合は、水で濡らして固く絞ったタオルで表面を拭き取る程度に留めましょう。
<ラテックスマットレスの洗い方>
- タオルを水で濡らして固く絞る
- 1のタオルで汚れた部分を拭き取る
- 陰干しする
【汚れ別】マットレスの洗い方5つ
次は汚れの種類別にマットレスの洗い方を紹介していきます。汚れの種類によっては前述した種類別の基本的な洗い方では落ちない場合があります。
紹介する汚れは「汗のシミ・皮脂汚れ」「おねしょ汚れ」「カビの発生」「血液の付着」「ダニの繁殖」の5つです。
マットレスをきれいに保つためにも、主な汚れへの対処方法を把握しておきましょう。
1.汗のシミ・皮脂汚れの場合
夜寝ている間、人は一晩で約350mlの寝汗をかくとされているため、マットレスに汗や皮脂による黄ばみが発生してしまう場合があります。
汗や皮脂による黄ばみは酸性のため、アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダを用いるのが一般的です。
<使用するもの>
- 重曹水もしくはセスキ炭酸ソーダ水
- タオル(数枚)
<重曹水の作り方>
水100mlに重曹を小さじ1杯入れてよく溶かして完成
<セスキ炭酸ソーダ水の作り方>
水500mlにセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯入れて溶かして完成
<汗のシミ・皮脂汚れの洗い方>
- 重曹水もしくはセスキ炭酸ソーダ水を汚れに噴霧する
- 5分ほど放置する
- 乾いたタオルで水分を吸い取る
- 汚れが落ちるまで、1~3を繰り返す
汗や皮脂による黄ばみは酸性です。アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダを水で溶かし、スプレーボトルに入れて黄ばみに噴霧することで落とせます。
2.おねしょ汚れの場合
おねしょ汚れはシミとニオイに分けて対応する必要があります。おねしょのニオイはアルカリ性のアンモニアが原因です。
しかし尿自体は中性から弱酸性です。まずアンモニアを除去するためにクエン酸で洗ってから、汚れが落ちきらない場合は中性洗剤を使用しましょう。
<使用するもの>
- クエン酸水
- 中性洗剤水(食器用洗剤でも可)
- タオル(数枚)
<クエン酸水の作り方>
水200mlとクエン酸を小さじ1杯入れてよく溶かして完成
<中性洗剤水の作り方>
水200mlと台所用中性洗剤を1滴入れてよく溶かして完成
<ニオイ汚れの洗い方>
- マットレスに付着した尿をよく拭き取る
- 尿のシミにクエン酸水を噴霧する
- 5分ほど放置する
- 乾いたタオルで水分を吸い取る
- 扇風機やドライヤーを利用してよく乾燥させる
<シミ汚れの洗い方>
ニオイ汚れの洗い方で、落ちきらないシミがある場合は乾かす前に以下の工程を行う
- 中性洗剤水を乾いたタオルに含ませて固く絞る
- 1でシミ部分を叩き洗いする
- 汚れが落ちるまで、1~2を繰り返す
尿には微量にたんぱく質が含まれているため、熱湯をかけると固まって落ちにくくなります。おねしょ汚れを洗うときは水かぬるま湯を使用しましょう。
3.カビが発生した場合
マットレスは湿気を帯びやすく、カビが発生しやすい環境です。カビは放置すると感染症やアレルギー反応を起こす原因になるため、見つけたら洗うようにしましょう。
カビには市販のカビ除去スプレーか消毒用エタノールを使用します。
<使用するもの>
- マットレス専用のカビ除去スプレーもしくは消毒用エタノール
※消毒用エタノールを使用する際は、スプレーボトルに入れておくと便利 - ウエットティッシュ(あれば)
- タオル(数枚)
<マットレス専用のカビ除去スプレーを使用したカビの除去方法>
- 側生地を外れる場合は外し、外せない場合はそのまま次に進む
- 表面のカビをウエットティッシュや濡らしたタオルで拭き取る
- カビの部分にカビ除去スプレーを噴霧して20分ほど放置する
- 乾いたタオルでスプレー液を拭き取る
- カビが落ちきるまで3~4を繰り返す
- しっかり乾燥させる
<消毒用エタノールを使用したカビの除去方法>
- 側生地を外れる場合は外し、外せない場合はそのまま次に進む
- 表面のカビをウエットティッシュや濡らしたタオルで拭き取る
- 消毒用エタノールをカビが発生している部分に噴霧する
- 1時間ほど放置する
- 水で濡らして固く絞ったタオルで叩き洗いをする
- カビが落ちきっていなければ1~3を繰り返す
- 扇風機の風やドライヤーを当ててしっかり乾燥させる
手順3「水で濡らして固く絞ったタオルで叩き洗いをする」ではタオルにカビ汚れを移すように軽く叩くのがポイントです。
消毒用エタノールに似た無水エタノールも市販されていますが、無水エタノールは殺菌効果が弱いためカビの除去には向きません。
マットレスのダニ対策について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせて確認してください。
4.血液が付着した場合
ケガによる流血や女性の経血の漏れによる血液汚れには、セスキ炭酸ソーダ水が有効です。セスキ炭酸ソーダは血液のたんぱく質を分解し、血液汚れを落としてくれます。
<使用するもの>
- セスキ炭酸ソーダ水
- タオル(数枚)
<セスキ炭酸ソーダ水の作り方>
水500mlにセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯入れてよく溶かして完成
<血液汚れの洗い方>
- マットレスの血液が付着した部分にセスキ炭酸ソーダ水を噴霧する
- 10分ほど放置する
- 乾いたタオルで叩き洗いをする
- 血液汚れが落ちきるまで1~3を繰り返す
- 扇風機やドライヤーを利用してしっかり乾燥する
手順3「乾いたタオルで叩き洗いをする」ときは、タオルに血液汚れを移すように軽く叩くのがポイントです。
また、血液汚れは時間が経つほど落ちにくくなるので、可能ならすぐに対処しましょう。
5.ダニが繁殖した場合
マットレスは湿気と汚れが溜まりやすいため、ダニが繁殖しやすい環境です。ダニは一度退治しても、予防をしないとまた繰り返し繁殖する恐れがあります。そのため、退治・除去・予防の3つのステップが重要です。
<ダニの退治>
60℃以上の熱でダニは死滅するため、布団乾燥機などを使用します。1日では退治できないため、3日間、朝晩2回に分けて布団乾燥機にかけましょう。
使用しているマットレスが熱に弱いタイプの場合、マットレス専用のダニ駆除スプレーを使用してください。
<ダニアレルゲンの除去>
ダニを退治した後は、死骸やフンなどのアレルギー物質であるダニアレルゲンを除去します。マットレスの表面を家庭にある掃除機で丁寧に吸います。
特に寝ているときに頭を置く周辺やマットレスとベッドの隙間、キルティングの溝部分にダニアレルゲンが溜まりやすいため、より丁寧に掃除機をかけましょう。
<再発の予防>
ダニの繁殖の原因は湿気と汚れです。ダニを再び繁殖させないためには、日々のお手入れでマットレスを清潔に保つことが肝心です。
たとえ就寝時シーツや敷きパッドの使用でマットレスに直接触れていなくとも、湿気や汚れは溜まってしまいます。日々のお手入れを行うことで、ダニだけでなくカビや皮脂汚れなども除去・予防が可能です。
マットレスのダニ対策について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせて確認してください。
マットレスを洗うときの注意点3つ
マットレスを洗うときは以下の「基本的には洗濯機を使用しない」「基本的には水拭きを避ける」「乾かすときは天日干ししない」の3点に注意しましょう。
マットレスを長く快適に使うための重要なポイントのため、あらかじめ把握しておくと安心です。
1.基本的には洗濯機を使用しない
マットレスを洗うときは洗濯機の使用を避けましょう。特にラテックスマットレスやウレタンマットレスは水に弱く劣化を早める恐れがあります。
また物理的にサイズが大きすぎて洗濯機を故障させかねません。大変危険ですので使用しないようにしてください。
ただしマットレスの中には洗濯機で丸洗い可能な商品もあります。必ず該当マットレスの取り扱い方法に従って洗濯してください。
2.基本的には水拭きを避ける
濡れたマットレスはカビの発生やダニの繫殖の原因となるため、マットレスの水拭きは避けましょう。
ただし皮脂汚れや血液汚れのような酷い汚れには、水拭きが有効です。水拭きをした後は、マットレスをよく乾燥させてください。
マットレスを乾かすときは室内の風通しのよい場所に立てかけておきます。湿度が高い日は、除湿器や扇風機を利用すると乾かしやすいでしょう。
3.乾かすときは天日干ししない
マットレスを乾かすときは天日干しをしないようにしましょう。
特にマットレスの素材としてよく使われているウレタンは熱に弱く、直射日光に当てると変質を起こす恐れがあります。殺菌や湿気対策が目的なら、風通しのよい日陰での乾燥や布団乾燥機の使用で十分です。
【頻度別】マットレスのお手入れ方法
マットレスのお手入れには以下の表のように目安となる頻度があり、またその頻度ごとにやるべきお手入れが違ってきます。
毎日 | 掛け布団をめくって換気する |
1~2週間ごと | 肌に触れる寝具を交換する |
2~3週間ごと | マットレスの底面を空気に触れさせる |
毎月 | マットレスに掃除機をかける |
2~3ヶ月ごと | パッド類を洗濯する |
半年ごと | マットレスの向きを変える |
頻度別のお手入れ方法を詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせて確認してください。
マットレスをきれいに保つコツ2つ
マットレスをきれいに保つには日々のお手入れが欠かせませんが、それ以外にもできることがあります。
そもそも汚れないような対策を行ったり、手入れがしやすいマットレスを使用したりすれば、ストレスなくマットレスをきれいに保つことができるでしょう。
マットレスの洗濯や手入れがちょっと面倒だなと感じている方におすすめです。
1.防水シートを使用する
防水シートは子どものおねしょや寝汗対策に役立つアイテムです。
敷きパッドのように四隅をゴムで止めるフラットタイプや、周囲にゴムが入っていてマットレスに被せて使うボックスタイプがあります。
フラットタイプの防水面は表面のみですが、ボックスタイプは側面にも防水加工がされているため、より安心感があります。
抗菌や防臭、防ダニ加工が施された製品もあり、特におねしょ汚れによる雑菌の繁殖やニオイが気になる方にはおすすめです。
2.洗いやすく軽いファイバーマットレスを使用する
ファイバーマットレスはポリエステルやポリエチレンなどの素材でできています。丸洗い可能な場合が多く、軽くてお手入れしやすいマットレスです。
また隙間の多い構造のため通気性がよく、速乾性があります。特に三つ折りマットレスになっているものは立てかけて干せるのでさらに高い速乾性が望めます。
マットレスの洗い方やきれいに保つコツを把握して快適な夜を過ごそう
マットレスは使用されている素材によって適切な洗い方が異なります。自宅で洗う際は洗濯表示や取扱説明書をよく確認してから洗濯してください。
またおねしょ汚れや血液汚れなども自宅で洗うことが可能ですが、あまりに汚れが酷いとこの記事で紹介した方法では落ちない場合があります。
あまりに汚れが酷い場合は専門のクリーニング業者に依頼するか、買い替えを検討しましょう。